TADより名機ET-703の復刻盤であるET-703aが発売されました。新旧の違いは?

アイキャッチ画像引用元 : TAD公式ウェブサイト

TAD社よりExclusive3401にも搭載され1978年ころ名機といわれ人気を博したET-703がET-703aとして復刻発売されます。約40数年前の時間を経てどのような仕様変化があったのでしょうか?
Pioneerよりコンシューマーモデルとして創設されたTADの歴史を少しなぞりながらET-703、ET-703aの仕様変更などもお伝えできればと思います。

TAD創設の歴史

画像引用元 : TAD公式ウェブサイト

TADの誕生まで

1937年、Pioneer創業者の松本望氏は、日本初のHi-Fiダイナミックスピーカー「A-8」の開発に着手します。翌年これを初めて製品として市場に投入することにより、パイオニアはスピーカーメーカーとしての道を歩み始めました。以来80年以上にわたり、パイオニアは音響技術の歴史に大きな足跡を刻んできました。

そして、1978年にプロフェッショナル用スピーカーブランド「TAD」を誕生させます。その名は世界中のミュージシャンやエンジニアによって高く評価され、有名な音楽スタジオや録音スタジオ、コンサート、映画制作など、音響分野でトップブランドとしての地位を築いてきました。

 

プロ用スピーカーブランドとしての成功

当時、アメリカから招かれたBart Locanthi(バート・ロカンシー)氏は、高性能スピーカーの開発を実現するために、パイオニアの技術者たちにシミュレーションと実験を繰り返し行わせ、当時の製造業界の通念を覆すほどの製品の精度や、真の技術の重要性を認識させました。

このようにして誕生した最初のモデルは、1978年に米国のAcoustic Engineering Society(AES)で発表されたコンプレッションドライバーで、その名は「TD-4001」でした。この製品は米国で発売されると、従来の製品を大きくしのぐ性能を持つものとして、世界中の著名なレコーディングスタジオで採用されるようになりました。例えば、トム・ヒドレーといったスタジオ設計のトップランナーが手がけた多くのスタジオや、エアースタジオ、キャピタルレコード、レコードプラントなどでもこの製品が活用され始めました。

日本市場への導入は、アメリカ市場よりも約2年遅れた1979年になりましたが、その年に行われたイーグルス・ジャパンツアーでSR(Sound Reinforcement)システムとして採用され、大きな注目を浴びました。さらに、TADのユニットは、Jimmy PageやPrinceなどの著名なアーティストの個人スタジオでも使用されるようになりました。

こうして、1980年代から90年代にかけて、世界中の有名スタジオは、TD-4001以降にリリースされたTADのコンプレッションドライバーやウーファーユニットを採用し、これらの製品は20カ国以上の300を超えるスタジオで利用されました。TADの理念とアプローチは高く評価され、プロの現場で高い信頼を築くことに成功しました。

 

プロ用技術をコンシューマーモデルへ

2000年代に入り、2002年の米国CES(Consumer Electronics Show)において、TADブランド初の高級コンシューマースピーカー「TAD-M1」が発表され、翌年には日本市場にも投入されました。TADが初めてコンシューマー向けにスピーカーを開発した際の中心にあったのは、自然で実在感のある音の再現と、その結果として得られる音像と音場の高次元での一体感でした。音の形、音の質感、空間、そして余韻を感じ取るために、「ナチュラルなサウンドの広がり」と「なめらかな音質」の2つの要素に焦点が当てられました。

そしてTADブランドが誕生して30年が経過した2007年、TADスピーカーの潜在能力を最大限に引き出すために、音の発信源であるエレクトロニクスも非常に重要だという考えが浮上しました。そのため、多くの音響技術のノウハウと資産を活用し、これを継承・強化するために、TADL(Technical Audio Devices Laboratories, Inc.)が設立され、パイオニアから独立しました。

 

TAD 名前の由来

TADというブランド名は、「Technical Audio Devices」の頭文字から生まれました。これは、1975年にパイオニア内でスタートした、最高級スピーカーの開発プロジェクトにおいて、技術顧問として参加したバート・ロカンシー氏の影響を受けたものです。

ロカンシー氏は当時、アメリカのプロオーディオ業界で高く評価された第一人者であり、「基本に忠実な技術こそが真の技術であり、技術志向に流されず、音質を常に最重視する技術こそ本物である」という信念を持っていました。この信念に基づいて、TADは設立されました。

そしてこの信念には、科学的な理論と正確な実験に裏打ちされた工学的アプローチの手法が表れており、TADブランドの創設から40年以上経過した現在も、変わらずに受け継がれています。

 

TAD 有名なスピーカーユニット

ここでは、TADのスピーカーユニットの中でも著名な3つの製品をご紹介します。

TD-4001

TD-4001は、1979年にTADブランドを冠した初めてのスピーカーユニットとして「TD-2001」、「TL-1601」とともに発売された高域用スピーカーユニットです。

軽量かつ大径(116mm)のベリリウム振動板と、磁束密度が20,000ガウスのアルニコマグネットによる磁気回路、流体力学に基づいて設計された5スリット・フェイジングプラグなどの要素が組み合わさり、広帯域(600Hz~20kHz)での再生と高効率を実現しています。特に、10kHz以上の高音域においては、一般的な小型ドライバーを凌駕し、優れたエネルギー伝達特性を有しています。

TD-4001は現在も人気のドライバーユニットで、状態が綺麗な物はまだ40万円前後で取引されています。

 

TL-1601a

1982年に発売されたTADの代表的な40cmコーン型ウーファーユニットです。
「TL-1601a」はExclusiveブランドとして発表された「model 2401twin」、「model 2402」などにも採用されています。

振動板には、天然の木質パルプを素材として採用し、特別なエージング処理を施すことで、非常に耐久性が高く劣化がほとんど起こらない特性を実現しています。これにより、大音量で使用しても振動板が弱まることがない特徴を持たせています。

 

TL-1601b

「TL-1601b」は、1987年に発売された40cmコーン型ウーファーです。
「TL-1601a」を基に、その基本性能を変えずに、デジタルソース時代のプロフェッショナルユースに適応するために開発されました。

このウーファーは、TL-1601aの特長である頑丈かつ軽量なコーン、特殊なダンプ剤で処理されたコルゲーションタイプの布エッジ、アルミダイキャストフレームなどを受け継ぎつつ、さらに高い耐入力性能を持つように設計されています。この設計アプローチは、高入力時にも高性能を持続させることを重視しており、ボイスコイルボビンに通気孔を備え、フレームの開口穴と磁気回路の中心穴を活用して、強制的な冷却効果を確保する方式が採用されています。その結果、最大入力容量は500Wまで向上しています。

TL-1601bは、Rey Audioのスピーカー システムにも搭載されています。

 

 

ET-703とET-703aの違い

ET-703

まず「ET-703」は、1978年にリリースされたリアコンプレッション型のホーンツイーターです。

ET-703は、35mmの直径を持つ超軽量のベリリウムダイアフラムが振動板に採用されており、これが高磁束密度の磁気回路と組み合わさることで、45kHzの高域再生が実現されました。

ホーンの形状はディフラクションタイプで、幅広い指向特性を備えています。

磁気回路には希土類コバルトマグネットが使用され、これにより磁束密度は20,000Gaussを達成。ボイスコイルはアルマイトコーティングされた純アルミエッジワイズ線で構成され、磁気ギャップ内の導体の占有率をアップし、高効率が実現されました。

【ET-703の主な仕様】
⚫︎入力インピーダンス : 8Ω
⚫︎ボイスコイル口径 : 35 mm
⚫︎最大入力 : 30 W (クロスオーバー周波数 5kHz、 -12 dB/oct)
⚫︎再生周波数帯域 : 5kHz〜45kHz
⚫︎クロスオーバー周波数 : 5kHz以上(遮断特性12dB/oct以上)
⚫︎出力音圧レベル : 107dB
⚫︎サイズ : 80φ×74Dmm
⚫︎質量 : 1.1kg
⚫︎付属品 : 取付ネジ、平座金、フランジ、密閉パッキン、六角レンチ

 

ET-703a

画像引用元 : TAD公式ウェブサイト

次に、「ET-703a」の特徴を解説します。ET-703aは、TADのプロフェッショナル向けシリーズ「TAD Professional Unit」の新商品として誕生したET-703の復刻モデルです。

ET-703aは、独自の真空蒸着技術を使用しており、エッジとダイヤフラムが純ベリリウムで一体化されたエッジ一体整形ダイアフラムを備えています。これにより、エッジ共振周波数を安定させつつ、50kHz以上の高い周波数を実現し、可聴周波数帯域に対する影響を最小限に抑えています。
また、35mmの大口径ダイアフラムが0.07gの超軽量化を達成し、高域共振周波数は45kHzまで確保され、広帯域で素晴らしい過渡特性と高解像度が実現されています。

ポールヨーク内部に音道が設けられ、振動板はリアコンプレッション方式に従って後ろから取り付けられています。さらに、フェイジングプラグはコンピューターを使用して精密に設計され、30kHz以上の領域までスムーズな周波数特性を持っています。

ボイスコイルには、磁気回路内の導体専有率を向上して高効率化するために、純アルミ線の表面に極薄のアルマイト皮膜を施したエッジワイズボイスコイルを採用しています。耐熱材料が使用されたボイスコイルボビンや接着剤は、30Wの大入力に耐える安定性が特徴です。

磁気回路には希土類コバルトマグネットが使用され、ポールヨークとプレートには極低炭素かつ低不純物の電磁軟鉄が採用されており、強い磁気特性を実現しています。

 

【ET-703aの主な仕様】
⚫︎入力インピーダンス : 8Ω
⚫︎ボイスコイル口径 : 35 mm
⚫︎フェイジングプラグ : 3重スリットリアコンプレッションタイプ
⚫︎最大入力 : 30 W (クロスオーバー周波数 5kHz、 -12 dB/oct)
⚫︎再生周波数帯域 : 5kHz〜45kHz
⚫︎クロスオーバー周波数 : 5kHz以上(遮断特性12dB/oct以上)
⚫︎出力音圧レベル : 107dB
⚫︎総磁束 : 4.0×10-4 ウェーバー
⚫︎磁束密度 : 2.0 テスラ
⚫︎サイズ : 80φ×74Dmm
⚫︎質量 : 1.1kg
⚫︎付属品 : フランジ、パッキン、六角穴付きネジ、ワッシャー、十字穴付き木ネジ、六角レンチ

 

Pioneer、TAD、Exclusiveの高価買取はオーディオランドにご相談ください

TAD社でも近年はユニットのみではなくTAD-M1モデルから様々なスピーカーシステム、またそれを駆動させるアンプやプレーヤーなど多岐にわたりますね。ET-703はじめ、PioneerTADEXCLUSIVEの製品は私たちオーディオランドが得意とするメーカーです。どこよりも高く買取させていただきますので売却の際はぜひ査定させてください。

オーディオランドのそれぞれの買取実績は下記のリンクをご覧ください。
【Pioneer】
【TAD】
【EXCLUSIVE】

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