オールホーンスピーカーの名機ですね。ONKYO Grand Scepter GS-1と最重量級アンプ Grand Integra M-510を買取致しましたのでご紹介です。

今回は非常に状態の良いONKYO(オンキョー)GS-1と、同じくメインアンプであるM-510を買取させていただきました。GS-1(Grand Scepter GS-1)は1984年7月発売されました、欧州でも90年に販売が始められましたが当時はGS-1をうまく鳴らせる機材がなかった為「早すぎたスピーカー」との評価を受けたそうですね。GS-1が発売された同年メインアンプであるM-510も発表します。これはGS-1を鳴らすために開発されたのではないかと多方面で言われていますよね。今回お譲りいただきましたオーナー様からもONKYO愛の話をたくさん伺いました。
今回はそんなONKYOの創業者であり当時の社長である五代氏の威信をかけて開発された機材の案内をさせていただきます。

画像引用元:ONKYO公式ページ

GS-1開発の背景

Stereo Sound(ステレオサウンド)創刊20周年の別冊「魅力のオーディオブランド101」で、GS-1についてインタビューされた当時のオンキョー取締役社長の五代武氏は「あれは、私が、断固継続させたのです。GS1研究には経費がかかりましたし、社内ではいろいろ言っていたようです。私は断固、GS1の研究開発予算は削るな、ということを言いました。私はGS1で、全体のレベルをもう一段あげようと考えていたんです。あれは、私のわがまま。創業者だからできたんでしょう。」と語られています。

また、同紙ではオンキョーの2つの試聴室が紹介されていました。ひとつはGS-1のためのリスニングルーム、つまりGS-1を開発した由井啓之氏の研究室です。もうひとつはオンキョーの商品開発部の試聴室で、開発中であったプロトタイプのScepter 5001用に利用されていました。

試聴機器においても興味深く、GS1の試聴室ではアナログプレーヤーがマイクロ精機のSZ1TVS+SZ1M、トーンアームがSMEの3012R Pro、カートリッジがIkeda 9、コントロールアンプがアキュフェーズのC280、パワーアンプがオンキョーのGrand Integra M510、CDプレーヤーにもオンキョーのIntegra C700を使用していました。Scepter 5001の試聴室では全てオンキョーの製品でセッティングされ、Integra C700、Integra P308、integra M508を使用していました。

試聴ディスクにおいては、GS-1の部屋ではアナログディスクが中心で、Septer 5001の部屋ではCDのみという様に、同じ会社の試聴室でも大きく違うのが伺えます。こうした個性を当時のオンキョーは認めていたということでしょうが、五代氏が「社内ではいろいろ言っていたようです」という雰囲気もなんとなく伝わってくる気がしますね。

五代氏のインタビューを拝見しても、オンキョーはGS-1の開発に全力で投資していたのが分かります。材料もほとんど一点もので手作りだったようです。オーディオ誌面での評価も高く、低音まで含めて全てオールホーンで再生というのは映画館用の特注を除けば、世界中を探してもオンキョーだけのアプローチではないでしょうか。GS-1はこの様な野心的なチャレンジが魅力的なのでしょう。しかも最低域は20Hz。数値だけ見ると信じられないような性能ですが、実際にGS-1では実現されていました。

 

ONKYO Grand Scepter GS-1

オンキョーが84年に発売したGS-1は、Grand Scepter(グラン・セプター)の名の通り、オンキョーの歴史の中でも最高級機で超弩級のスピーカーシステムです。GS-1の最大の特徴は、オールホーン型のシステムであることですが、さらに注目すべきことはホーン型の特徴である高能率を目指すのではなく、むしろ高能率化やワイドレンジ化を代償にしてまでも妥協を許さず歪みの低減を図ったことでした。それにより、ホーンの形状・材質からコンプレッション・ドライバーの性能まで厳格な解析が行われ、高純度な音質が実現されました。また、「時間を正しく再生する」という理念の元、すべての周波数帯域、特に低音域の時間差をなくすためにオールホーンシステムという設計が採用されました。

全体構成としては、インシュレーターで低音再生部分と中高音再生部分に分けられていました。さらに低音再生部分は、低域ホーン部と低域コンプレッションドライバーユニット部から構成されています。低域ユニットは2つ搭載され、エンクロージャー内部は2つに分かれています。それぞれ40リットルずつの独立したバックキャビティを保持していま す。

中高音再生部分には傾き調整機構を備え、音の中軸を整えていました。2本の低域ユニットは公称口径28cm、実口径23cmのコーン型で、比較的小さな口径のユニットです。このユニットに直径10cmという大口径ボイスコイルを組み合わせ、当時入手可能だった製品の中で最大規模の直径220mmのマグネットを搭載しています。Q=0.3という低い値に設定することでトランジェントを向上させ、低域の遅れを解決していましたが、低域の周波数が200Hz付近からズルズルと下がり始めるため、低域特性の補正にLR構成のパッシブ形イコライザーを採用しました。この補償回路を挿入することで音圧レベルは12dB低下し、ウーファー部の元の能率が100dB/mなので88dB/mとなりました。家庭用にしてはやや低めの音圧レベルですが、イコライザーをアンプ側に外付けすると100dB/mの高能率システムとしても使用出来ます。

この強力な駆動系によってウーファーのボイスコイルは強度に制動されますが、さらに振動板に対してホーンロードをかけて動きを調整し、トランジェントをさらに改良していました。つまりウーファー部のホーンは、トランジェント向上の効果を発揮したものとなっています。この低域ホーンは、ホーンによる歪みを除去するために幾多の試作が繰り返されて完成されたものでした。オンキョーは、ホーン内部での音の反射の乱れによる歪みを「マルチパス・ゴースト歪み」と呼んでいましたが、それを除去するために断面の面積変化、断面の形状変化、側壁の傾斜変化の全てを滑らかにして、円形にしたスロート部分も滑らかに変化させ、途中はスーパー楕円、開口部は長方形というオリジナルの形状に製作しました。

さらに、オンキョーが「リバーブ歪み」と呼ぶホーン自体の振動によって発生する時間遅れの残響音を、除去するためにFRPと、鉄橋などに使われるダンプ材を使用し、鉄板などをサンドイッチ状に重ねる「ダンプドFRP積層ホーン」という特殊な構造を採用していました。

中高域ユニットに搭載された窒化チタン材の65mm径ダイヤフラムは、ボイスコイルからボビンまで一体となった超精密成型により、ユニット全体として優れた特性を実現しています。中高域部分のホーンも低域部分と同じく「ダンプドFRP積層ホーン」を搭載しています。

エンクロージャーの構造は、3mmの米末単板6枚を貼り合わせ、その上に鉄橋などに使われるダンプ材を貼り、さらに鉄板で拘束しています。この構造により、エンクロージャーの不要な振動の抑制が別格レベルとなっています。
ネットワークは中高域部分に分散して配置され、また端子板も装備されています。この端子板での接続を変更することで、通常のネットワーク経由のシステムとして使用したり、専用の外部イコライザーを使用して高能率システムとして、またはバイアンプドライブを行ったりと、様々な使用方法が可能となっていました。

GS-1の主な仕様

形式:2ウェイ・ホーン型スピーカーシステム
使用ユニット:
◯低域 28cmユニット(W3060A)2本によるツイン・ドライブ・ホーン
◯高域 ホーン型ツイーター(TW502801A)
インピーダンス:8Ω
最大入力:300W
瞬間最大入力:2000W
クロスオーバー周波数:800Hz
出力音圧レベル:88dB/W/m (外部イコライザーを使用した場合:100db/W/m)
再生周波数範囲:20~20,000Hz
エンクロージャー内容積:40リッター×2
外形寸法:630W×1060H×615Dmm
重量:117kg(ウーファー部77kg、ツイーター部40kg)

ONKYO Grand Integra M-510

GS-1の発売年と同じ84年にオンキョーから発売されたのがステレオパワーアンプのGrand Integra M-510です。GS-1をドライブする為に開発されたのではと言われるM-510は、重量60kgを超える超弩級の中身を持つオンキョー最大のパワーアンプです。

M-510の最大の特徴は「位相の正確さ」を追求した設計思想にあります。オンキョーはオールホーン型のGS-1でも位相の正確さを貫徹して求め、正確な音像・音場再生を実現し高い評価を獲得しましたが、M-510にもその設計思想が継承されています。M-510はステレオパワーアンプにおける位相の乱れを解決するために、新開発された「インフェイズ・トランス」が搭載されています。まず入力信号の乱れは、スピーカー駆動電流がスピーカーの特性によって位相の乱れを起こし、その位相のずれた電流がフラックス、アース、B電源などを経て増幅部へ帰ってくることで生じます。このように位相のずれた電流が増幅部へ帰ってくることを防止するため、電流経路に新しく加えられたものが「インフェイズトランス」です。

「インフェイズトランス」の仕組みは、プラス側にある波形の電流が流れると、マイナス側から逆位相で同じ波形の電流が流れるようになっています。逆位相で同じ波形の電流がプラス側とマイナス側に流れることで、波形の山と谷をお互いに打ち消し合ってフラットになる為、電流に乗った不要な成分だけをキャンセル出来ます。この仕組みを研ぎ澄ますべくオンキョーは数多なる試行錯誤を積み重ね、遂にインピーダンスが極めて低く結合度が高いという特別なトランスを完成させました。低域の駆動力・制動力を押し上げ、高いスピーカー駆動能力を実現したのは、この「インフェイズトランス」の効果によるものです。また、巨大な電源部から生じるフラックスの影響もキャンセルするため、ハイパワーアンプでありながらローレベル再生にも優れた性能を発揮します。

M-510の電源部は5つのトランスが並び立つ非常に大きなもので、左右に独立して電源トランスを搭載しています。構成は、信号系以外の電源用に搭載されたトランスを合わせて3つとなり、さらに左右の電源回路にそれぞれ「インフェイズトランス」を搭載することで合計5つのトランスとなっていました。また、新たに型から設計された超大型電解コンデンサーが4個搭載されていました。この電解コンデンサーは容量33,000μF/100Vと非常に巨大で、構造的には防震構造材で保持されています。

出力段は7パラレルプッシュプル構成で、片チャンネルあたり14個のハイパワートランジスターを使用しています。8Ω負荷時で300W/chの出力を実現し、主要回路はすべてガラスエポキシ基板に装備されています。

フロントパネルはシンプルなデザインとなっており、大型メーターと中央のインジケーター以外には電源スイッチのみという外観です。メーターの設定、出力レベル調整、スピーカー切り換えなどは、下部のシーリングドア内に収納されています。出力レベル調整により、可変入力(VARIABLE)端子にはCDなどの高出力機器を直に接続出来ます。また、出力レベル調整を通らないダイレクト入力端子も装備しており、スピーカー出力も2組備えていました。ピークホールドタイプの左右の出力メータ間には、メーターレンジ、スピーカー出力のインジケーターとさらにWaiting Monitorという電源オン後にウォームアップの状態が8段階に表示されるというインジケーターが装備されています。

M-510の主な仕様

実効出力:
◯300W+300W 8Ω(20Hz~20kHz)
◯370W+370W 6Ω(20Hz~20kHz)
◯500W+500W 4Ω(20Hz~20kHz)
全高調波歪率:0.005% 定格出力時(20Hz~20kHz)
混変調歪率:0.003% 定格出力時(70Hz:70kHz=4:1)
パワーバンドウィズス:5Hz~100kHz  IHF-3dB  T.H.D0.2%
利得:33.8dB
周波数特性:1Hz~100kHz (+0, -1.5dB)
SN比:120dB  A補正、定格出力、入力ショート
入力感度:1V(定格出力)、0.058V(1W出力)
入力インピーダンス:20kΩ
負荷インピーダンス:
◯1Ω~16Ω(ミュージック)
◯4Ω~16Ω(電気用品取締法連続)
ダンピングファクター:300  8Ω・50Hz
入力端子:VARIABLE×1、DIRECT×1
出力端子:SPEAKER×2
トランジェントキラー動作時間:POWER ON/OFF 5sec/100msec
電源:AC100V  50/60Hz
寸法:507W×264H×512D (mm)
重量:63kg

まとめ

いかがでしたでしょうか。グランセプターGS-1は、オンキョーが並外れた拘りを持って生み出したドリーム製品でした。歪みのない音場感のしっかりした音色は独自の世界観を生み出し、発売後数年経ってからフランスのハイファイ協会によるジョセフレオン賞を受賞するなど、その優秀性は海外でも高く評価されました。GS-1はオンキョーを代表する名機と言える一台です。また、M-510はオンキョー史上最大のパワーアンプで、それまでの同社のパワーアンプと比較しても特別に巨大で贅沢な設計です。それだけに真にパワーのあるクリアな音質を獲得しており、Grsand(荘厳に)Integra(完全であれ)と称するだけあって、オンキョーの中でGS-1と双璧する超弩級モデルでした。

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