トーンアームのお話、ショート、ロングはたまたS字で音の変化はどうなるのか?
アナログレコードプレーヤーには欠かせないパーツ、トーンアーム。トーンアームにはメーカーはもちろんの事、素材や長さ、S字パイプなど様々なものがありますが今回は長さ、S字について書いてみたいと思います。
また、近年ますます人気が高まっているレコードプレーヤーですが、レコードプレーヤーを買うのが初めてという方や、買ってはみたが使い方がよく分からないという方の為にトーンアームの基礎知識も合わせて記事にしましたのでご参考いただければ幸いです。
レコードプレーヤーの「カートリッジ」に関しては「こちら」のブログをご覧ください♪
目次
画像引用元:AUDIOCONCEPTS
トーンアームの基礎知識
構造
トーンアームはカートリッジの均衡を保ち、適正な針圧でレコードの音を正しくトレースする装置です。水平と垂直のバランスはウェイトで取ります。先端部分が取外し可能なユニバーサルアームの場合は、自由にカートリッジやヘッドシェルを交換することが出来ます。お好みに合わせて組み合わせを変えたり、細かい調整をして理想の音を生み出していけるのもアナログプレーヤーの魅力のひとつです。
ヘッドコネクタ
ユニバーサルアームであれば、アーム先端を回すことでカートリッジを簡単に取り外すことが出来ます。音楽のジャンルやお好みに応じて独自のセットを楽しむことが可能です。
リフター
リフターは、リフターレバーと連動してアームを上下に動かします。オイルダンプ機構を利用してゆっくりと動き、レコード盤を傷つけないように働きます。
バランスウェイト
バランスと針圧を調節するためのウェイトです。針圧をかける前にアームが水平になるようにセットしておく作業のことをゼロバランスと言いますが、まず前後の位置を調節してゼロバランスを取り、目盛を合わせて針圧をかけていきます。これをスタティックバランス方式と言います。
トーンアームの種類
トーンアームには、形状の違いとしてショートアーム、ロングアーム、ストレート型、S字型、J字型などの種類があります。その他、 加圧方式によって大まかに「スタティックバランス方式」と「ダイナミックバランス方式」の2種類に大別できます。
スタティックバランス方式
最も一般的で人気のタイプです。針圧の調整をする際は、メインウェイトの位置を変えてゼロバランスを取り、加圧も同じウェイトで行うものが多いです。
ダイナミックバランス方式
針圧の加圧をバネを使用して行うタイプです。メインウェイトを移動してゼロバランスを取った後、バネで圧力をかけることで針圧を加圧します。
トーンアームの動き
レコードを作る際のカッターがレコード盤の音溝を刻む時は、針先が盤の外側から中心に向かって真直ぐ動きますが、一般的なアームに装着された針は円弧状に動きます。このためアームを使用する際はレコード盤の外周および内周でズレが生じます。このズレをトラッキングエラーと呼びますが、これを抑えるために「アーム軸の中心→針先」並びに「アームの軸中心→センタースピンドル」の距離をアームの仕様通りに正確に配置し、オーバーハング長を合わせます。またアームの振り角度を設定して正確にトレースするようにします。
画像引用元:AUDIOCONCEPTS
ロングタイプ・トーンアームの起源
近年では見かけることが稀になりましたが、以前は直径30センチに対して40センチのレコード盤が存在しました。40センチというと16インチに相当しますが、この16インチのレコード盤は放送などに使用する目的で製造されました。まだテープレコーダーが普及していなかった当時、長時間の放送に30センチ盤では足りなかった為、40センチ盤が生まれました。それに応じて、トーンアームも9インチではトレース出来ないので、盤の長さに相応しい長さとして12インチのトーンアームが作られました。これがロングタイプ・トーンアームの起源です。
ちなみに、レコードプレーヤーよりも高級なトーンアームを製作したことで有名なSME社のモデル「3009」の「9」は、9インチ(225ミリ~228ミリ)を指しています。多くのオーディオマニアの憧れでもあるSMEトーンアームの長さを見ても分かるように、長さは9インチでも十分であることが分かります。
アームの長短、形状で音はどう変わる?
国際的に統一されたレコードの長さは直径30センチです。トーンアームは、このレコード盤をトレースするのに必要な長さがあれば良いということなのですが、トーンアームの長さは長いほうが良いという意見もあります。その理由はトラッキングエラーを軽減出来るからです。先述したようにトラッキングエラーとは、レコードを作る際のカッターの動きと再生時のトーンアームの動きのズレのことですが、このズレが音に影響を与えています。
ストレート型、S字型で変わる音の特徴
それでは、ショートタイプのストレートとショートタイプのS字型、ロング・タイプのストレートを聴いてみてどう音が変化するのかを見ていきましょう。
まず、ショートタイプ同士で比べると、ストレートは少々キツい印象であるのに対して、S字型は音が豊かになる傾向があります。次に、長短のストレート同士で比べると、アームが長くなるとショートタイプのストレートで感じたキツさが緩和されて、耳に心地の良い非常に調和された音になるのが興味深いところです。このように長短や形状によって音が変化するのは事実なのですが、大きく音質に影響を与える程ではありません。ひとつのアーム・システムの中で長短や違う形状の種類を試し、それぞれの特徴を楽しむことは出来るのですが、全く違うトーンアームを使用した場合は音質の変化がアームによるものなのか、そうでないのかは容易に区別が出来ないでしょう。
ですので、プレーヤーの仕様を確認しながら、カートリッジ、ヘッドシェルと合わせてアームを色々と試しながらお好みのサウンドを獲得するまでの変化を楽しむのが良いのではないかと思います。
画像引用元:AUDIOCONCEPTS
まとめ
結論、長ければ良いという訳でもなく、ストレートよりもS字の方が音が豊かになる等、色々な意見がありますね。以前2台のレコードプレーヤーを一つのベルトドライブして使用しているのを拝見したことがありますが、やはり音は変わるんだなと実感いたしました。
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