JBL のフラッグシップモデルの双璧EVEREST シリーズとProjectK2 シリーズ

アイキャッチ画像引用元:JBLホームページ

JBLの長い歴史の中Hartsfield 、Paragon、Olympusから大型4350モニターを経てEVERESTシリーズであるDD55000の誕生、そして4年後にEVERESTシリーズと並ぶJBLのフラグシップモデルとして、再生ソースの発展を見据え、スピーカーの進むべき姿を提示してきたプロジェクトK2シリーズS9500が発売されました。これよりS9800、DD66000、S9900、DD67000と互いに進化していきますが初期モデルでもあるS9500もまだまだ人気絶頂ではないでしょうか。今回のブログでは、JBLフラッグシップモデルの系譜を辿りながら、現在の二強フラッグシップモデルとして双璧をなすEVERESTシリーズとプロジェクトK2シリーズを深掘りしていきたいと思います。

JBLフラッグシップの系譜

1946年に創業したJBLは、75年以上もの間、常にその時代の最先端テクノロジーを駆使してオーディオ界のトップに立つフラッグシップモデルを開発・発表してきました。JBLが生み出したこれらのモデルは世代を超えて多くのオーディオファンに愛されています。そんなJBLフラッグシップ・スピーカーの歴史を見ていきましょう。

JBL誕生初期

JBLの創設者、ジェームス B. ランシング氏は、アルテック・ランシング社で技術担当副社長を勤めていましたが、ランシング氏がアルテック社を辞めた理由には、「美しい高性能の家庭用スピーカーを製造したい。」という強い思いがありました。それを実現する為に創設したJBLで、初期に誕生した代表的なスピーカー・システムがD130D175です。

JBLの初期システムは、ジェームス B. ランシング氏が開発した高性能ユニットを家具調のキャビネットに納めた、美しく高性能な家庭用スピーカーシステムでした。しかしこれらのシステムを開発し続ける一方で、ジェームス B. ランシング氏はさらなる高みを目指し、真に理想のスピーカー・システムを造りたいという願望が生まれます。しかし残念ながら、彼はその夢を達成する事が出来ずにこの世を去ってしまいます。残されたJBLスタッフ達は、各部門に精通した技術者達を雇用することで、カリスマ的存在の夢を成し遂げようと考えました。こうしてJBLは、社全体のプロジェクトとして製品を造り上げていくスタンスを築き上げていったのです。

 

画像引用元:JBLホームページ

HARTSFIELD (D30085 ハーツフィールド)

1954年に発表されたHartsfield(ハーツフィールド)は、ランシング氏が夢見た理想のシステムを完成させるべく、JBLのスタッフが成し遂げた一大プロジェクトでした。スピーカーの名前ともなった発案者、ウィリアム・ハーツフィールド(William L. Hartsfield)氏のアイディアを基に製造された大型フロアシステムです。
コーナー型のエンクロージャーは複雑に湾曲したホーン構造を内包し、中高域ホーンも同じくカーブ構造を持ち、別名ゴールドウィングと称された黄金色の大型音響レンズを装備しています。中高域用ドライバー
37515インチ径ウーファー150-4Cは、JBL最大サイズの新開発ユニットとして当時のマーケットでも最も強力と賞賛されました。また、ハーツフィールドはプロ用クオリティーの音響システムを初めて一般ユーザーが入手することができた夢のスピーカーとして、正真正銘のJBLフラグシップモデルとなりました。

 

パラゴン (D44000 PARAGON)

JBLのプロジェクトモデル・第二弾として発表されたのは、1957年にリリースされたD44000 Paragon (パラゴン)です。ステレオ時代初期の革命的なオールホーンシステムとなったパラゴンは、低域部のフロントロードホーン開口部と、黄金色の開口部を持つ中域ホーンの2つを、ゆったりと彎曲したセンターパネルに向けて配置し、そのパネルの反射によってどこから聴いても正確なサウンドを楽しめるように設計されています。
当時レンジャートーン・コーポレーション(Rangertone Corporation)のオーナーであり、音響技術者として功績を残したリチャード・レンジャー(Richard H. Ranger)氏の原案が元となり、デザインは時代の寵児であったインダストリアル・デザイナー、アーノルド・ウルフ(Arnold Wolf)氏が担当、そして低域用ホーンの設計にはハーツフィールドの開発者でもあるウィリアム・ハーツフィールド氏が参加し完成させられました。オーディオ好きの方であれば一度は名前を聞いたことがあるパラゴンは、今でも多くのオーディオファンに愛され続け、歴史に名を残すフラグシップ・モデルとなりました。

オーディオランドのブログでも「PARAGON」をピックアップしていますので是非ご覧ください♪

オリンパス (D50S8R OLYMPUS)

1960年代初頭にJBLより「LE(リニア・エフェシェンシー)シリーズ」と名付けられた高性能ユニット群が発表されました。そして、これらの超低歪みを実現したユニットを搭載したスピーカーシステムを次々とリリースします。そのフラグシップモデルとして開発されたのがオリンパス(Olympus)です。フロントグリルはJBLの伝統技術が光る木彫り組子格子を用い、スタイリッシュなテーブルトップと頑強なキャビネット、高性能ユニット群の搭載、そしてユーザーが自由にシステム構成を選べる柔軟性の高さが特徴のモデルです。当時オリンパスは、Jazz喫茶やパブなどに次々に設置され、多くのJazzファン達を魅了しました。

スタジオモニター 4350/4355

1970年代になると、JBLが本格的に音楽産業のプロフェッショナル業界に参入します。そして43104320の開発を経て、これらのスタジオモニター・シリーズの最高位に達したのが、日本のオーディオ界で爆発的人気を博した4350です。38cm径ユニット2本を搭載し、中高域と低域とを別々のアンプで駆動するバイアンプ・ドライブ専用設計を採用した4350は、低域エネルギーがズバ抜けており、超ワイドレンジ再生能力を誇る至高のモニタースピーカーでした。その後、ユニットの改良を経て4355へと引き継がれていくのですが、ダブルウーファーを装備したその巨大なスケールと、バイアンプ駆動方式という使用難度の高さから、その後カタログから姿を消してしまいます。しかし、傑出したサウンドクオリティーの高さから、今以て多くのファンに支持されているスタジオモニターの銘機です。

 

 

 

エベレスト (DD55000 EVEREST)

アナログからデジタルへと移り変わろうとしていた時代、JBLはパラゴンに代わる新たなフラッグシップを開発するプロジェクトを立ち上げました。Project EVERESTと呼ばれたこのプロジェクトでは、プロフェッショナル市場向けに開発したコンスタント・ダイレクティビティー・ホーンという偏指向性ホーンの特性を応用し、試聴環境の何処に居ても正確なステレオイメージが得られるという全く新しい技術を開発しました。これにより家庭用オーディオの世界にサウンドフィールドという新しい概念を創出することに成功するのです。
こうして
1985年に誕生したDD55000エベレスト (EVEREST)は、JBLの初代プロジェクトモデルのハーツフィールドにマウントされたレジェンド的ユニット150-4Cを最新テクノロジーで蘇らせた150-4Hというユニットを搭載し、ハーツフィールドのコーナー型フロアーシステムという特徴とパラゴンの創造性溢れるステレオ再生への挑戦という2つの特徴を受け継いだ傑作品となりました。

 

PROJECT K2 S9500

1989年、JBLは最強の磁力を持つネオジム・マグネットを採用した4インチ径コンプレッション・ドライバー475Nd14インチウーファー1400Ndという2つの革新的なユニットを開発しました。1400Ndでは、熱に弱いネオジム・マグネットの欠点を克服するため、JBLのスペシャリストが開発した「ベンテット・ギャップ・クーリング・システム」というボイスコイルの強制冷却システムを実現する新技術を投入しています。そしてこれらのユニットを搭載して誕生したフラグシップモデルが、Project K2 S9500でした。

K2 S9500にはもう一つ、マルチウェイ再生における音像定位の不明瞭化を改良した「シンメトリカル・バーティカル・アレー」という斬新なユニットレイアウトが取り入れられています。これは低域を受け持つ2つのユニットで中高域ユニットを挟み、上下対称の仮想同軸型音源を生み出すことでフルレンジ型や同軸型スピーカーに並び立つクリアで正確な音像定位を実現するテクノロジーです。この技術は後の姉妹モデルであるK2 S5500やスタジオモニターM9500に継承されます。そしてS2500/S3500K2 S5800SVAシリーズやTZシリーズなど、ホームシアターを愉しむオーディオファンに強く支持されるモデルを次々と誕生させました。

 

画像引用元:JBLホームページ

PROJECT K2 S9800

21世紀の始まりを迎えた2001年、JBLは新世紀のフラグシップとして、Project K2 S9800を発表しました。「フルバンドウィズ&フルダイナミクス」をテーマに掲げたProject K2 S9800は、新たなデジタルフォーマットの登場により、圧倒的に拡張された周波数レンジとダイナミックレンジの両方を、くまなくサウンドに変換する高性能を実現しています。その中で主要な役割を果たしたコンポーネントが、卓越した低域再生能力を持つアルニコマグネット・ウーファー1500ALです。JBLは、1980年代初頭のフェライトマグネットへの移行以来、減磁という特有の欠点があるアルニコマグネットを一切使用していませんでしたが、遂にこのプロジェクトで減磁を起こさない画期的な磁気回路構造を開発することに成功。アルニコマグネットを採用した革命的なウーファーを完成させました。

さらに、創業以来55年間も続いた伝統的な型から一変した新生フォーマット設計により開発された3インチ径ベリリューム・ダイアフラム採用のコンプレッション・ドライバー435Beと、比類なき程の超高域のハイパワー再生を可能にした1インチ径コンプレッション・ドライバー045Beとにより、最新デジタルフォーマットによるサウンドクオリティを別次元へと大躍進させました。

 

エベレスト (DD66000 EVEREST)

K2 S9800の完成後すぐに、来る創立60周年に向けてJBLの伝統と技術を極限まで集結させた真のフラッグシップ・スピーカーの開発をスタートします。そして60周年を迎えた2006年、Project EVEREST DD66000が完成しました。JBLの社長であるポール・ヴェンテ氏が「JBLのドリームチームの全能力が詰まっている」と表現するDD66000は、「Project EVEREST DD55000」以来、代々のフラグシップ プロジェクトに参加した、JBLコンシューマー製品のチーフシステムエンジニアを務めるグレッグ・ティンバース氏や、同じく初代EVEREST以来、ハイエンドモデルのデザインを担当するデザイナーのダニエル・アシュクラフト氏など、JBLを代表する専門家が開発に携わっています。
ユニットの構成は、380mm径のアルニコウーファー「1501AL」を2基、高域用の100mm径コンプレッションドライバー「476Be」、超高域の25mm径ベリリウムドライバー「045Be-1」の4基を搭載しています。2本のウーファーのうち1本のウーファーとコンプレッションドライバーを700Hzのミドルレンジクロスオーバーで統合し、全可聴帯域をカバーしています。JBLでは2ウェイを背景に、超高域と低域に再生帯域を拡張させる方式を「拡張型2ウェイ」と呼んでいますが、DD66000もこの方式が採られています。超高域にコンプレッションドライバー「045Be-1」を追加することで、50kHzを超える超高音域まで再生帯域を拡大。もう一方のウーファーを150Hz以下で起動させることで、30Hz以下まで低域再生能力を拡大させています。
DD66000の堂々たるデザインはハーツフィールドの格調高い佇まいとパラゴンの優雅さを兼備し、さらにK2 Projectによって進化した高性能ユニット技術やシステム設計技術を統一させた、JBL史上最高品位のスピーカーとして市場に送り出されました。ダイナミックなダブルウーファーシステムながらご家庭で圧迫感を感じさせない見事なデザインは、JBLの創設者、ジェームス B. ランシング氏が理想とした「家具のように美しいスピーカー」を具現化した傑作品と言えるでしょう。

 

PROJECT K2 S9900

DD66000JBLの理想を極めたスピーカーとして世界中のオーディオファンを魅了した憧れのスピーカーとなりましたが、ダブルウーファーゆえのそのサイズ感から、リスニングルームに設置するのが困難なオーディオファンも少なくありませんでした。エベレストの一際目立つサウンドクオリティーをもっと手軽にリビングに迎え入れたい、という市場の希望に応えて誕生したのが、Project K2 S9900です。
K2 S9900は、K2 S9800DD66000で使用されたアルニコ15インチウーファー、JBL最大サイズの4インチ径コンプレッションドライバーを装備し、ホーンのサイドウォールとして用いられたカーブド・バッフルや曲面で構成されたリアパネルなど、エベレストの設計要素をシングル・ウーファーに濃縮して完成しました。また、新開発されたマグネシウム・ドライバーによる柔軟で穏やかなサウンドは、K2 S9900独自の特徴としても評価されています。

 

画像引用元:JBLホームページ

エベレスト (DD65000 /DD67000 EVEREST)

DD66000の開発から6年が経過した頃、いつの時代も頂点に君臨するフラグシップ機であり続けるために、更なる改良改善を施す必要がありました。DD66000の開発当時にはまだ未完成だったテクノロジーやマテリアルを投入し、その後に開発されたK2 S9900やスタジオモニター4365などの製品に適応された新たな独自技術などを駆使して完成したのがEVEREST DD67000です。ウーファーには剛性の高いサンドイッチ・コーンとレスポンスの早いプリーツエッジを使用し、バーチ・プライウッドとカーボンクロスによって強度を上げ、ダンプされたバッフルなど、細部に渡って洗練されています。

また、JBLDD66000DD67000と相異なるアイデンティティを持つもう一つのフラッグシップモデルとして、EVEREST DD65000を同時に発表しました。K2 S9900に用いられたマグネシウム・ドライバーによる中高域を根幹に、このドライバーの物理的性質とサウンドにそって修正されたウーファーとUHFドライバーを合併させました。これによりしなやで温和な音色が生まれ、リスナーを穏やかな気持ちで音楽に没頭させると賞賛を獲得しています。

 

画像引用元:JBLホームページ

まとめ

いかがでしたでしょうか?JBLフラッグシップモデルの歴史を辿りながら、EVERESTシリーズとプロジェクトK2シリーズをご紹介いたしました。EVERESTは圧倒的な存在感。しかしそのサウンドクオリティーをもっと手軽にリビングに迎え入れたいとの要望で進化していくK2シリーズS9900など使用環境により好みはあるかと思いますが、双方とも間違いなくJBLのフラッグシップであることは間違いありません。

オーディオランドでは多数のJBL EVERESTシリーズやK2シリーズの買取実績があります。
JBLの買取実績は「こちら」からご覧ください。
大切にご使用されてきたスピーカーを信頼できる実績ある会社に売りたいとお考えではありませんか?
大型スピーカーの搬出は経験豊富なオーディオランドにお任せください。『高価買取』でお応えいたします!!

  • 出張買取
  • 宅配買取
  • 取引の流れ
  • 多数の誌面にてメディア掲載中
  • オーディオマニアがお届けする〇得オーディオブログ
  • アナログプレイヤー・ヴィンテージオーディオ高額買取中!
  • 買取強化ブランド高価買取
  • ヴィンテージオーディオ高額買取の秘密

お電話で出張/宅配買取依頼・お見積り

0120-976-355

営業時間 8:00~22:00 年中無休

たった60秒!簡単入力

買取金額を査定

スマートフォン

スマホで簡単写メ査定

スマートフォン

ブランドから探す

ジャンルから探す

  • 出張買取
  • 宅配買取
  • 取引の流れ
  • メディア掲載中
  • アナログプレイヤー・ヴィンテージオーディオ高額買取中!
  • 買取強化ブランド高価買取
  • オーディオマニアがお届けする〇得オーディオブログ
  • ヴィンテージオーディオ高額買取の秘密

ページ上部に戻る