映画館とホームシアターの違いは“観る場所”だけじゃない!音の響きについて
みなさんは、ホームシアターを導入したいと思ったことはありませんか?
中には、費用や質を考慮して断念した方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、ホームシアターを導入するにはスピーカーなどの物品を買いそろえなければならないうえに、自宅の狭くないスペースを要するため、費用も手間もかかります。
さらに、映画館は専門の業者が計算をすることによって構築されているため、ホームシアターは映画館以上の質を提供してはくれません。
しかし、ホームシアターの質を映画館に近づけることはできます。
また、タイトルの通り、映画館とホームシアターの違いは“観る場所”だけではなく、それぞれの定義とメリットがあります。
そこでこの記事では、映画館とホームシアターの定義、メリットをご説明し、最後にホームシアターの質を映画館に近づける方法をご紹介したいと思います。
それぞれの定義
はじめに、映画館とホームシアターの定義をご説明します。
何をもってして映画館、ホームシアターと呼ぶことができるのかを知っていきましょう。
映画館の定義
映画館はほとんど方になじみの深いものでしょう。
いくつもの座席が並び、後方が高くなっており、大きなスクリーンに映像が映写される。
誰もが一度以上は行ったことのある場所です。
しかし、多くの座席と大きなスクリーンがあるだけでは映画館と呼ぶことはできません。
映画館を映画館たらしめるもの、それは音を吸収する箱の構造です。
映画館の壁を触ったことがある人はわかると思いますが、映画館の壁は柔らかいもので覆われています。
また、映画館の階段を上っているとき、足下にふわふわとした触感があるのに気づいたこともあるのではないでしょうか。
これは、スピーカーから発せられた音を吸収するための工夫なのです。
映画館で最も重要視されるのは音です。
劇場にいるすべての人が、あたかもスクリーン内の世界に投げ込まれたように思わせるのが映画館の最大の強みです。
しかし、スピーカーから発せられた音が余計に反響してしまえば、リアルな感覚は即座に失われてしまいます。
このように、スピーカーの音を調整するための吸音構造をとった箱が、映画館を映画館たらしめる最大の要素なのです。
ホームシアターの定義
映画館に対して、次はホームシアターの定義をご説明したいのですが、ここで一つ問題が生じてしまいました。
実は、ホームシアターの決まった定義は存在しないのです。
そのため、どれだけ小さなテレビでどんな空間であっても、DVDプレーヤーさえあれば「これはホームシアターだ」と言うことができるのです。
とはいえ、この記事をご覧になっている方は、本格的なホームシアターを想定していると推測されます。
したがってこの記事では、以下に挙げる機材のそろった環境を、ホームシアターの定義とします。
・大画面のワイドテレビ、あるいはプロジェクターとスクリーン
・DVDプレーヤー
・5.1ch以上のスピーカーシステム
・AVアンプ
これらの中で特に重要なものはAVアンプです。
なぜならば、これがホームシアターを映画館に近づけるのに大きな役割を果たすアイテムだからです。
詳しくは後ほどご説明します。
また、5.1chという単語の意味がわからない方は、下記URLの記事で詳しく説明していますので、ぜひ先にこちらをご覧ください。
それぞれのメリット
さて、映画館とホームシアターの違いがわかったところで、さらに疑問が生まれます。
「ホームシアターを作る人は、映画館のほうが遙かに上質な作品を提供してくれるのに、どうしてわざわざ家に小規模の映画館を作るのか?」
その答えは、ホームシアターにも映画館をしのぐようなメリットが存在するからです。
確かに映画館はホームシアターよりも格段に上質な映像作品を提供してくれます。
ところが、ホームシアターはほんの少し質が落ちる代わりに、様々な恩恵を施してくれるのです。
そこでここからは、映画館とホームシアターのメリットを比較していきます。
映画館のメリット
まずは、多くの人になじみのある、映画館のメリットについてご紹介していきます。
自宅で映画などを楽しめる世の中になってきていますが、それでも映画館にしかない魅力はあります。
ぜひ、以下に紹介する3つのメリットを読んでみてください。
手間をかけずに大迫力の映画を鑑賞できる
皆さんはどれくらいの頻度で映画館に足を運びますか?
おそらく、少なくない数の人が気軽に足を運んでいると思われます。
なんたって、たった数千円で1つの映画を鑑賞できますから。
一方で、ホームシアターは環境を整えて1つの映画を観ることができるまでに、少なくとも数十万は費用がかかります。
さらに、スピーカーやAVアンプなどを購入して自宅に届くまでの時間もかかります。
このように、映画館は思い付きで遊びに行く感覚でも足を運ぶことのできる娯楽施設なのです。
映画館自体が特別な場所である
皆さんは、映画館に行くことによって得られる充実した時間は、映画を見ている時間だけだと考えてはいませんか?
実は、それは間違いです。
これは映画館がどのような場所にあるかを考えれば理解できます。
つまり、ショッピングモールや街中です。
もし、恋人と一緒に映画を見ようとなったとき、ホームシアターで鑑賞していればどうなるでしょう。
きっと、その日はずっと家の中で過ごすことになり、映画の余韻に浸ることができないでしょう。
しかし、わざわざショッピングモールや街中の映画館まで足を運べば、上映前はほかの店で雑貨などを眺めたり、上映後は恋人と一緒に外食したりすることができます。
そして、帰路の途中で映画のことを話したり、次に観る映画や予定について話したりすることもできます。
映画館に行くという一連の流れも楽しいひと時になりますよね。
このように、映画館はホームシアターでは味わえない、前後の恩恵を授かることができるのです。
そういう意味では、映画館という場所は恋路の追い風という比喩に相応しい特別な場所であるといえるでしょう。
最新映画は映画館でしか観ることができない
これは、どうあがいてもホームシアターには獲得しえない最大のメリットだといえるでしょう。
最新の映画は、その時点ではDVDにもブルーレイにもなっていませんし、NetflixやHuluなどの定額制動画配信サービスにも提供されていません。
世間の話題についていくためには映画館に行かなければならないのです。
ホームシアターのメリット
続いてはホームシアターのメリットをご紹介していきます。
これまでのご説明で、ホームシアターは映画館の下位互換だと思われた方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
ホームシアターには映画館にはない魅力とメリットがあることを以下の3つの項目を読んで知っていきましょう。
映画館とは比べものにならないくらいの自由度
まず、ホームシアターの良さを語るにおいて欠かせないものが、すべてを自分で決定することのできる自由度です。
映画館で食べることのできるものはポップコーンなどのファーストフードくらいしかありません。
様々な種類があるといえど、たまには映画も見たいしお寿司も食べたい日もあるでしょう。
その点、ホームシアターでは食べるものが限られません。
さらに飲むものまで自由です。
映画館で飲むことのできないこだわりのお酒だって、自由に飲むことができます。
また、映画を観るスタイルも自由です。
映画館では、没入感はあるものの肘おきのせいで恋人との間に少しばかりの距離が生じてしまいます。
また、小さなお子様もお行儀よく鑑賞することがマナーです。
ところが、ホームシアターではそのようなことは起こりません。
2人用のソファで肩を寄せ合いながら、思いっきり笑って泣いて映画を鑑賞することができます。
映画ノートを並行して制作できる
これは映画の研究をしたり、創作を趣味にしていたりする人たちにとっては非常にありがたいメリットだといえるでしょう。
映画館で鑑賞しながら映画ノートを作ろうとすると、暗いためにうまくノートを作ることができません。
さらに、ノートをとるのに夢中になって、大事なシーンを見逃してしまうことだってありえます。
後から思い出しながらノートをとっても、幾分か質の落ちたものになることは否めません。
しかし、ホームシアターはこれらの問題をすべて解消します。
まずホームシアターでは、すぐ目の前にスクリーンがあり、視界は基本的に明るいです。
そのため、自分の文字を視認しながらノートを書き進めることができます。
そして、ホームシアターには一時停止と巻き戻し機能があります。
これを活用すれば、書き取りのために大事なシーンを見逃すことはありません。
また、1度目はノートを書かずに鑑賞し、2度目に並行してノート制作を行うこともできるでしょう。
映画以外も楽しめる
これもまたホームシアターの大きな強みでしょう。
ホームシアターであれば、映画以外にも様々な映像や音楽を楽しむことができます。
例えば、野球やサッカーなどのスポーツ観戦やテレビドラマ、CDをプレーヤーに入れればオーケストラなどの壮大な音楽を体感することが可能です。
映画館とホームシアターの最も大きな違い
ここまではそれぞれのメリットをご紹介してきました。
しかし、これら2つには決定的な違いが存在します。
それは、映画館の定義をご説明するときに述べた、吸音構造が作り出す“音”です。
残響
残響は視聴者を映画の世界に没入させるのに一役買っています。
具体的にご説明すると、私たちに遠近感を与える手段に使われているのです。
例えば、足音が遠くから近づいてくるシーンを描写するとき、映画館での残響は徐々に減少していきます。
しかしホームシアターでは、ある程度足音が近くなったときに、突然残響が消えることがあります。
なぜこのようなことが起きるかというと、映画館自体が残響を発生させる構造をとっているからです。
生の音声に残響をもたせなくても、この構造のおかげで残響の増減をスムーズに行うことが可能なのです。
低音
そして、映画館の吸音構造は高域の音をよく吸収しますが、低域の音はあまり吸収しません。
そのため、スピーカーから発せられる高音の残響は大きく、低音の残響は小さく設定されています。
このような調整によって、映画館では爆発音や緊迫感のあるBGMに迫力を与えています。
しかし、ホームシアターではその効果が薄れてしまいます。
高音の残響が耳についてしまうからです。
逆に低音の残響は小さいため、あまり迫力のないように感じてしまうのです。
セリフ
低音と同様に、残響はセリフにも影響を与えています。
皆さんはテレビで映画を観るとき、なんだかセリフが小さく感じることはありませんか?
また、映画館のほうが胸に訴えかけられているような感覚にもつことはありませんか。
これが映画館の残響が引き起こす大きな変化です。
通常、動画配信サービスやDVDの音声はBGMとセリフの音量が調整されていますが、それらの残響は調節が困難であるため、家庭用に修正されていないのです。
ホームシアターを映画館に近づけるには?
上記のように、映画館の作り出す残響は、私たちに没入感を与え、さらに低音とセリフのもつ力を強化させます。
では、どうすればホームシアターを映画館に近づけることができるのかは、なんとなくわかってきたでしょう。
そう、映画館の残響を擬似的に作り出せばいいのです。
そこで最後は、ホームシアターを映画館に近づける方法、すなわち残響を作り出す方法をご紹介します。
ホームシアター向けにスピーカーをグレードアップさせる
まずは音の源泉であるスピーカーに注意を向けてみましょう。
元々十分なスペックを有しているスピーカーなら何も問題はありませんが、小ぶりなスピーカーではパワーが貧弱です。
そこで、ホームシアター向けのスピーカーとして「SONY HT-RT5」をオススメします。
キャプチャ画像引用元:SONY
SONYのスピーカーは高音質と優れた重低音で有名です。
さらに、日本のメーカーであるため、品質は十分に保証されています。
このスピーカーがあれば、かなり優秀なホームシアターを作ることができるでしょう。
音響ボードを使う
音の発生源を強化したら、今度は残響を発生させやすい環境を整備します。
そこで使用するのが音響ボードです。
音響ボードとは、表面に凹凸のある、吸音構造をとった板のことです。音響パネルとも呼ばれています。
つまり、これを使って映画館と同じ箱の構造を作り出すのです。
「音響ボード」とインターネットで画像検索をしてみると、様々なデザインのパネルがヒットして面白いので、ぜひ調べてみてください。
また、床にはカーペットなどのふわふわしたものを敷くと、さらに映画館の構造に近づけることができるでしょう。
イコライザーを調整する
スピーカーと環境を整備したら、微調整を行います。
そこで使用するのはイコライザーです。
イコライザーとは、音声信号の周波数特性を変更することによって音質を調整する音響機器です。
イコライザーは通常AVアンプに搭載されています。
ホームシアターの定義でAVアンプが重要だと述べたのはこのためです。
そこで、ホームシアター向けのAVアンプとして、SONYの「STR-DH590」をオススメします。
キャプチャ画像引用元:SONY
このアンプは上記でご紹介した「SONY HT-RT5」と同じメーカーのため、2つの相性は抜群です。
また、「STR-DH590」には付属の測定マイクロフォンを使用することによって、音量バランスや周波数特性を調整してくれる自動音場補正機能「D.C.A.C(Digital Cinema Auto Calibration)」が搭載されおり、簡単に音声の微調整を行うことができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
映画館とホームシアター、どちらが良いかは観る人によって異なります。
クオリティの高さを求めていれば、映画館を選ぶ人も多いでしょう。
しかし、この記事でご紹介してきた通り、ホームシアターを映画館に近づけることは可能です。
もし、この記事を読んでホームシアターを導入しようと決断された方がいれば、誠に光栄です。
また、オーディオランドではヴィンテージやハイエンドオーディオの買取を行っております。
スタッフは全員ハイエンドオーディオに知識のある専門家なので、適正な価格すなわち高額で買い取りさせていただきます!
キズや破損、部品の紛失があったとしても、オーディオの価値に基づいて買取りさせていただきますので、ホームシアターを導入した際に古いハイエンドオーディオを処分しようとお考えの方はぜひともオーディオランドにご連絡ください!