オーディオルームの音質向上や空間作りに!ルームチューニングを楽しみましょう
気になる機器をオーディオショップで試聴して購入後、自宅でシステムを組んでみると試聴時と比べて音が違ったというのはオーディオ愛好家の中ではよくある話ですよね。システムや電源環境、リスニングルームの広さなど、多くの理由から音の感じ方は変わります。
では逆に今のシステムを最良の環境で聴ける様、リスニングルームのチューニングは如何でしょうか?音の響きを整えることでより良い音に、またお気に入りのスタイルでオンリーワンのリスニングルームを作る楽しみもありますね。
そこで今回のブログでは、ルームチューニングの効果や選び方、定評のある音響パネルメーカーをご紹介させていただきます。音響パネルの購入を検討されている方は、ぜひご参考にご覧ください。
目次
ルームチューニングの効果
ルームチューニングは必要?
コンサートホールはそれぞれのホールで音が変わる。という話を聞いたことがあるのではないでしょうか?それは、ホール独自の特性である反射音が楽器の音や響きに影響を与えるからです。また、コンサートホールではステージ上の演奏者のポジションや楽器、特にピアノの位置を変更するだけで響きの質が向上すると言われています。
では、ご家庭のリスニングルームではどうでしょうか?部屋の音響特性は、スピーカーの音質に影響するのでしょうか?ご想像の通り、一般家庭の部屋もコンサートホールほどではありませんが、部屋の音響特性が音質に非常に大きく影響を与えています。
購入したスピーカーを自宅に持って帰って聞いてみると、店頭で聞いた時と音がまるで違ったという経験をされた方もいらっしゃるかと思います。それは、部屋の音響特性の違いが理由だったのです。実際に部屋で使用しているスピーカーの音というのは、スピーカーからの音が3~5割で、残りは部屋の壁などの反射音となっています。ですので、高価で高性能なスピーカーを購入しても部屋の音響特性が低質だと、スピーカーの真価が発揮できません。一方で安価なスピーカーでも部屋の音響特性が優れていると、非常に良い音を鳴らしてくれます。しかし、良い音が鳴らないのはスピーカー自体の問題と考え、高価な機器やアクセサリーを次々と購入してしまうことも少なくありませんよね。そこで、まずは部屋の音を整えましょう。そうすれば無駄に音響機器を買い換えることなく、お手持ちのオーディオ機器で優れた響きの音楽を楽しむことが出来ます。
ルームチューニングで部屋の響きを整える
販売されているルームチューニング用品は吸音材がほとんどなので、余計な音を取り除こうと吸音材を購入される方が多くいらっしゃるかと思います。しかし吸音材を使用すると、音の濁りが除去され純度が高まりますが、逆に使い過ぎると音の拡張や響きの良さが失われてしまいます。このように吸音材で過度に中高音を吸収してしまうと、低音のぼやけや音の活気の減少につながります。そこで、吸音材の代わりに反射パネルを使用して響きのバランスを調整します。すると、部屋の音は飛躍的に向上し音の響きを楽しく聴けるようになるでしょう。
一般的にルームチューニングとは余分な音を消し去ることだと考えがちですが、大事なことは部屋の響きを整えることです。また、吸音材でも音を全部吸収できずに反射を起こしますので、低質なルームチューニング材は良い音を吸収して悪い音を反射してしまう結果になります。ですので吸音材の使い過ぎには注意してくださいね。
良い響きと悪い響き
音色には性質があり、その音質の違いに私達の耳は敏感に反応します。そこで反射パネルを選ぶときには、この質感に注目して選びます。例えば段ボール箱を叩くとボコボコという音がしますが、これは悪い響きを持つ代表的な材質です。このように強度が低い物は、音が当たったときに共振して素材の音を発生し、その共振は音楽と共に発生するため、段ボールの悪い響きが音色に加わります。小さな反射音でさえ、それが悪い響きを持っていれば、リスニングルームの響きを損ねるので、透明感のある音色の音楽を楽しむことが出来ません。その為、ダンボール箱のように叩いたときに不明瞭な音がするものは反射パネルに不向きということです。また、リスニングルームにそのような悪い響きを持つ反射物(薄いベニヤ板やフスマ)がある場合には、表面の反射を軽減する対策が必要となります。
一方で良い響きもあります。良い響きとは耳に心地よい性質を持つ音のことです。良い響きを持つ材質とは、響きが楽器の性質と似ていたり、人が心地よいと感じる性質の響きです。
最後に、反射物の形が平面の場合は、その反射を調整し音質への悪影響を軽減することができます。例えばリスニングルームの天井や壁が平面のケースでは、スピーカーの設置場所や角度を変えることで悪影響の軽減ができます。一部のトールボーイ型スピーカーには角度の付いたバッフルが採用されていますが、それらは壁や天井からの不要な反射を軽減する効果が期待できます。
良いルームチューンパネルの選び方
まず反射パネルを選ぶ際の大切なポイントは、心地よい音を反射するかということです。心地よい音の反射とは、変な共鳴を発生しないことです。そこで最適な材質とは、厚みがあり、かつコンサートホールで使用されているような良い響きを持つ材質になります。この条件に当てはまり、一般的に入手可能なものは木材です。良い響きを持つ木材から作られた製品は良質な反射パネルとなります。木材の反射パネルを適切に使うことで響きの豊かさや厚みが膨らみスピーカーの音を元気ハツラツとエネルギッシュにすることができます。
次に吸音パネルで重要なポイントは、反射の強弱ではなく、反射する音が耳障りではないことです。よく代替吸音材として取り上げられるのがダンボール素材のケースや箱ですが、これらは叩くと曇った鈍い音がするはずです。前述しましたが、これらを吸音材として使用するのは良い方法とは言えません。吸音パネルは、ダンボール箱のような悪い音を発生せず、音響エネルギーを吸収できるものが最適です。
中高音と低音の対策の違い
これまで説明したのは主に500Hz以上の中高音に当てはまる内容です。中高音の音波は、光の様に反射します。ガラス面に対して光が反射するのと同様に、中高音は対象物に対して反射するとイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。
一方で200Hzよりも低い音波の低音は対象物に対して反射しません。低音はどうなるかというと、対象物に沿って流れます。この波の動きを回折(かいせつ)と言いますが、反射せずに回り込むとイメージしましょう。パネルを設置した場合、中高音はパネルに反射し低音はパネルに沿って回り込みます。
例えば、スピーカーと人の間に吸音材を配置すると、中高音は吸音材でブロックされて人の耳に届きません。しかし、低音は吸音材を回り込んで耳に届きます。この場合、中高音のエネルギーが弱まり、低音のエネルギーがそのまま届くので、音のつり合いは低音よりの音が生じます。逆にスピーカーの後面に反射パネルを設置したケースでは、中高音のみが反射して響くので、イキイキとした明るい音になります。
フラッターエコーへの対策
フラッターエコーとは、壁と壁、床と天井など平行する平面の間で起こる音の反射のことです。特に床や壁が硬く小さな空間では、このフラッターエコーの影響が出やすくなります。ご家庭では吸音材を全く貼らない小さな部屋の中央付近で手を叩くと「パーン!」や「ビーン!」というフラッタエコーの発生が簡単に確認できるでしょう。手を叩いた音が止まった後もこだまのような残響音が鳴り続けていれば、それがフラッターエコーです。「パーン!」というクリアなエコーが聞こえる場合は、響きを消す必要はありませんが、「ビーン!」という濁った音や「キーン!」という圧迫感のある音が残る場合は、リスニングの際に音像がぼやけて聴こえたり、ミキシングやマスタリングの精度を下げてしまう為、フラッターエコーの対策が必要です。
ルームチューニングの参考ブランドをご紹介
画像引用元:日本音響エンジニアリング
ここではルームチューニングで定評のあるメーカーをご紹介します。
SALOGIC
サーロジックは長野県上田市に拠点をおく、ルームチューニングパネルで有名な会社です。 サーロジック代表の村田氏は元東芝のレコードエンジニアとして活躍していた方で、DSPの設計をされていました。現在は生産が終了していますが、DSP搭載サブウーファーD.Cube2のブーミング対策用に製作したルームチューニングパネルが高い評価を獲得し、現在はルームチューニングパネルの製造が主になっています。
QRD
QRDの音響パネルは、建築音響学を徹底的に追求し画期的なアプローチをとっています。従来の音響材が音の吸収に重点を置いていたのに対し、QRDは「拡散」・「吸音」・「反射」という3つの要素をバランスよく組み合わせ、最大限に効果を発揮できるアコースティカルデザインを提供しています。QRDはカーネギーホールなど世界的に名声のあるコンサートホールに納入実績があるなど、言わずと知れた音響パネルで、特にSKYLINE(スカイライン)やDiffusor(ディフューザー)が有名です。
画像引用元:株式会社太陽インターナショナル
「SKYLINE」
Skyline(スカイライン)は、天井面の拡散処理に対して優れた効果を発揮する音響拡散パネルです。天井の一次反射面を処理することにより驚異的な音響空間の広がりを実現します。余計な反射は吸収と拡散によって調整できますが、小さなリスニングルームの場合は、吸収ではなく拡散を利用して反射をコントロールしたいと思いますが、そうなると効率性の高い拡散材が必要です。それを可能にしてくれるのが全方向2次元ディフューザーのSkylineです。Skylineは世界中のホールやスタジオで導入されており、全ての方向の目立つ音を小さくし、入射音をバランス良く拡散させる技術において特許を取得しています。
画像引用元:株式会社太陽インターナショナル
「Diffusor」
Diffusor(ディフューザー)はQRD製品の中でも使い方の幅が広く、最も人気が高い音響拡散パネルです。リスニングルームではスピーカー後方の正面に設置することで、素晴らしいサウンドステージを創り出します。ご家庭のリスニングルームだけでなく、学校やレコーディングスタジオ、教会、講堂、劇場、コンサートホールなど様々な場所でも採用されています。
日本音響エンジニアリング
日本音響エンジニアリングは、日本の建築音響の先駆けとして、半世紀の歴史を誇る会社です。音への徹底したこだわりと情熱を元に高度なテクノロジーと開発力を培い、テレビ局やラジオ局をはじめとする多くのスタジオの音響設計などにおいて豊かな実績があります。さらにオリジナルの計測技術を次々と開発するその高い技術力は、音響計測、建築音響、航空機騒音、騒音対策など、様々な領域で功績を上げています。
また、森の中は低域の抜けの良さと中高域の精細な響きが得られる理想の音場といわれていますが、日本音響エンジニアリングはこの森の音響効果に着目し、自社の豊富な実績と長年蓄積した音響シミュレーション技術により、新しいルーム・チューニング機構「Acoustic Grove System (AGS)」を開発し特許を取得しました。日本音響エンジニアリングの製品で特に有名なのはSYLVAN(シルヴァン)やANKH(アンク)です。
画像引用元:日本音響エンジニアリング
「SYLVAN」
SYLVAN(シルヴァン)は置き場所を選ばない自立タイプで、日本音響エンジニアリングが開発したAGSの核心技術をコンパクトにまとめて製品化したルームチューニング用品です。自立式のため設置場所を選ばず、リスニングルームのデザインやレイアウトに合ったポジショニングが出来るのも魅力です。SYLVANを設置することで再生される音場空間の定位感がアップし、より鮮明な音色を楽しむことが出来ると評判です。
「ANKH」(アンク)
部屋のどこにでも配置できるように設計されたSYLVAN(シルヴァン)に対して、ANKH(アンク)シリーズは、ANKH-Ⅰ(フラットタイプ)、ANKH-Ⅱ(コーナータイプ)、ANKH-Ⅲ(小型タイプ)、ANKH-IV(天井コーナータイプ)、ANKH-Ⅴ(天井・壁コーナータイプ)、ANKH-Ⅵ(床置きタイプ)と設置場所によって様々なラインナップが用意されています。また、柱状拡散機構に吸音効果を併せ持つハイブリッドタイプの新シリーズ、Hybrid ANKH(フラットタイプ)とHybrid ANKH-Ⅱ(コーナータイプ)も登場しています。
ECHO BUSTER
海外製のルームチューン材と言えばECHO BUSTER(エコーバスター)です。素材はシンプルにウレタン素材を使用しています。エコーバスターのチューニングパネルは、計算された厚みと形状、材質により高い効果を発揮し定評を獲得しています。
東京防音
埼玉県朝霞市に位置する東京防音株式会社は「吸音材」・「遮音材」・「防振制振材」といった防音対策商品を数多く製造、販売している会社です。東京防音は防音一筋に力を注いできた長年の経験から勝ち得た豊富なノウハウで、リスナーの音楽ライフをはじめとした静かな環境づくりに役立つことを使命とし、数多くの商品を生み出しています。
自作
最後に、メーカー品以外で自作でルームチューニングパネルを作られる方もいらっしゃいます。自作ではピアノの吸音材を使用するなど、各人の創意工夫でオリジナルの音響パネルを制作することができます。
画像引用元:日本音響エンジニアリング
ルームチューニングの効果を試してみよう
ルームチューニング用品を使って部屋の響きを整えることで、システムの真価を存分に発揮した音色を楽しめるようになります。今回ご紹介させていただいたメーカーをご参考にお好みのスタイルを見つけ、音がどんなふうに変化するのか試してみてはいかがでしょうか。ぜひその効果を楽しんでみてください。
また、お手持ちのオーディオ機器の音質をもっと向上したい。とお考えの方は「クリーン電源」に関しても記事にしていますので、是非下記のブログもお役立てください。
「ハッキリ、すっきり劇的に音質向上!?クリーン電源がもたらす効果」
オーディオランドでは古くなった音響パネルや、新製品購入に伴い使わなくなったルームチューニング用品を「高価買取」しております。ルームチューニング材やその他オーディオ機器の査定や買取のご相談は、お気軽にお問い合わせください(^^♪
一年の締めくくりの時期となりました。
今年も一年、誠にありがとうございました!!
どうぞ、ご家族そろって明るい新年をお迎えください。