あなたのオーディオ選びの基準は??魅了されるMcIntosh(マッキントッシュ)ブルーメーターの歴史
アイキャッチ画像引用元:Mcintosh Group
JBL、McIntosh、KEFなど歴史あるオーディオブランドから数年前に立ち上げられた新鋭ブランドまで、非常に多くのオーディオメーカーがありますよね。皆さんはオーディオシステムを選ばれる時に、何を基準にしていますか?
もちろんオーディオは音楽を楽しむ為の物ですので音の趣向や、機器の相性などで選ばれていると思います。ですがせっかくの趣味の世界ですのでデザインや、開発者の理念に共感されて選ばれている方も多いかと思います。実際わたしが初めてオーディオシステムを構築したときは後者でした。
デザインで非常に人気がある(もちろん音質も素晴らしいです)のはご存じMcIntosh(マッキントッシュ)ですよね。少しうす暗い部屋でお気に入りのジャズを聴きながら代名詞でもあるブルーメータの針の動きを見ているだけで数時間も経ってしまうオーナー様も多いのではないでしょうか?
今回はMcIntoshの歴史をご紹介いたします。
目次
McIntoshのブランドストーリー
画像引用元:Mcintosh公式ページ
マッキントッシュのアンプは、球管式やソリッドステート式など、どの時代に造られたものでも多くのオーディオファンにとって憧れです。特にマッキントッシュのアンプは独自の出力トランスに大出力パワーアンプ、伝統的なフルグラスのイルミネーションフロントパネル、グリーンとブルーが美しいメーター表示、漆黒のガラス面等々、まさに高級アンプを象徴するブランドです。
ここでは世界の憧れMcIntoshのブランドストーリーを見ていきましょう。
マッキントッシュ創業時代
マッキントッシュの創設者であるFrank H. McIntosh(フランク・ホームズ・マッキントッシュ)氏は、1942年頃、ワシントンDCでラジオ局のサウンドシステムを設計するコンサルティングの仕事をしていました。そこでは、高出力で歪の少ないオーディオアンプを必要としていましたが、既存のアンプでは性能が十分に満たなかった為、自身で開発しようと1946年にMcIntosh and Ingles (Engles)という会社を創立しました。
社名の経緯
マッキントッシュ設立当初は「McIntosh and Ingles (Engles)」という名のコンサルティング会社で、本社はワシントンDCにあり、放送機器関係のコンサルティング事業やFM放送のサブキャリアを使用したバックグラウンド・ミュージックをメインにする会社でした。
そしてフランク・H・マッキントッシュ氏は会社を設立すると、同年にGordon Gow(ゴードン・J・ガウ)氏を迎え入れ新しいアンプ製作に取り組みます。
翌年の1947年、マッキントッシュは社名を「McIntosh Scientific Laboratory」に変更し、続いて1949年に「McIntosh Engineering.Laboratory」をメリーランド州に設立します。それから2年後の1951年にニューヨーク州ビンガムトンに移り、現在の「McIntosh Laboratory Inc」(マッキントッシュ・ラボ社)へと改称し、現在に至ります。今も本社はこちらにあります。
親会社の系譜
1990年にマッキントッシュは日本のカーオーディオメーカー「クラリオン」の米国法人に買収されました。クラリオンは単なる利益目的の買収ではなく、マッキントッシュへの敬意を示し、重厚なガラスを精密に穴あけする機械に多額の投資を行い、重量級パワーアンプのグラスパネル加工を実現したという話もあります。
その後2003年にクラリオンから持株会社D&Mホールディングスに買収され、傘下ブランドとなりました。これより数年間、株式会社エレクトリが日本への輸入販売やサポート業務を行っていました。そして2007年にD&Mホールディングスが日本法人子会社の株式会社マッキントッシュ・ジャパンを新しく設立し、エレクトリから全てがこちらに移行されました。
2012年になると、Sounus faberなどを傘下に持つイタリアの持株会社ファインサウンズが買収します。そのタイミングで、再び日本の輸入販売権はエレクトリに戻されました。そして親会社のファインサウンズは2014年に社名をMcIntosh Groupへと変更し現在にいたります。
マッキントッシュを育てたゴードン・J・ガウ氏
マッキントッシュの育ての親とも言われるGordon J. Gow(ゴードン・J・ガウ)氏は、偉大なエンジニアであり、マッキントッシュの2代目社長となった人物です。ゴードン・J・ガウ氏がマッキントッシュに加わったのは、創業年の1946年のこと。フランク・H・マッキントッシュ氏は会社を設立すると、ゴードン・J・ガウ氏を迎え入れて、高効率・高出力・低歪率を目標に新しいアンプの製作に入りました。
ゴードン・J・ガウ氏は、戦時中に米空軍の通信技師を務めており、戦後はその技術を活かした仕事をしたいと考えていたようです。
ユニティ・カップルド・サーキットの完成
画像引用元:Mcintosh公式ページ
ゴードン・J・ガウ氏がアンプ造りで最も注力したのは、プッシュプル回路のノッチング歪みでした。従来のプッシュプル回路では、どうしてもBクラスのノッチング歪みが発生し、反対にAクラスでは効率が低すぎて商業ベースに乗りづらいという欠点がありました。そこでガウ氏は、Bクラスの能率でノッチング歪みを減少した方法の研究に取り組みます。オハイオ州立大学のプロフェッサーであるフレッド・ターマン氏の提起を参考に、「SEPP(シングル・エンディット・プッシュプル)回路」による歪みの低減に努めましたが、それまでのトランスではどのような手段を使っても理想的な低歪を実現することができなかったため、OPT(出力トランス)に辿り着きます。OPTにバイファイラー巻きを2つ付けることで、片方をカソード、もう一方をプレートに使用し、出力パワーを出力管のカソードとプレートの双方から得ることで低歪値を実現しました。
一方で、コア材と巻き線においても数々の工夫をこらし、入出力の直線性を向上しました。特にコア材は、フラックス・デンシティとコイルの磁力がリニア関係となるものが皆無で、ガウ氏はグレイン・オリエンテッド・シリコン・スチールという鋼材がとても優れた作用をもたらすことを発見しました。また巻き線においても、数多の研究を積み重ねた結果、1次線と2次線をパラレルにして同時に巻いていくバイファイラー・バランスド・シンメトリックによる、いわゆるバイファイラー巻きトランスを開発しました。これをベースに完成させたのが、「ユニティ・カップルド・サーキット」です。この回路は1946年に特許を出願し、3年後に獲得しました。
この回路を常に磨き上げてマッキントッシュの独自性を育んできたのがゴードン・J・ガウ氏であり、ユニティ・カップルド・サーキットこそ、マッキントッシュの原点であり現在のマッキントッシュブランドへの品質と信頼に繋がっています。
Emotional Response For Music
マッキントッシュが今なお高いブランド品質を維持しているのは、ゴードン・J・ガウ氏の貢献が大きくあると言えます。というのも1960年代に入ると、球管式アンプがソリッドステート・アンプに移行しますが、当時、出力トランスを持つマッキントッシュのアンプは古いと評論されたことがありました。しかしガウ氏は、出力トランスを持つオンリーワンのアンプとしてトランスが持つスピーカー・インターフェースとしての優位性やスピーカーとアンプ両方においての安全性や安定性などの特性を述べ、そのサウンドクオリティと商品性のトータル面で優っていると主張し自身の信念を貫きました。
ゴードン・J・ガウ氏の名言である「emotional response for music(音楽に対する情緒的反応)」は今でもオーディオファンの間ではとても有名な言葉ですね。ガウ氏はデザインについて、思い付きや感覚だけで造れるものではなく、大事なのはリアリティであり、一番必要なのは機械としての必然性であると話していました。アンプの場合の必然性とは、アンプは音楽を聴くためのものなので、リスナーの「エモーショナル・レスポンス・フォー・ミュージック」が本質であり、これを大切にしなくてはいけない。そしてそのためには何が一番ふさわしいのかと考えた結果、イルミネーションが最もふさわしいという結論にいたったそうです。
そしてゴードン・J・ガウ氏がフライト中に上空から見たニューヨークの夜景をモチーフにしたといわれている漆黒のブラックグラスパネルに映えるブルーアイズメーターは、マッキントッシュの代名詞として在り続けています。今後のマッキントッシュ製品にもゴードン・J・ガウ氏の精神は生き続けるでしょう。
APPLE社との逸話
iPhoneなどで有名なApple社(Apple Inc.)が発売しているPCは通称「Mac」で親しまれていますが、正式名称は「MacIntosh」です。このMacIntoshとは、カナダ生まれのリンゴ「McIntosh red」に由来し、日本では「旭」という名前で北海道で少量生産されています。当時、アップル社で開発メンバーだったジェフ・ラスキン(Jef Raskin) 氏はこの品種のリンゴが好きで、彼は自身が開発する製品にその名前を付けたいと思っていました。
しかし1979年当時、オーディオブランドのマッキントッシュは既に存在していた為、Mとcの間にaを入れたMacIntoshという名称を当時の会長、マイク・マークラ氏に相談し、オーディオのマッキントッシュ社に名前の使用許可と承認を得て、「MacIntosh(マッキントッシュ)」という名前を使用することになったというエピソードがあります。
Mcintosh製品の特徴
画像引用元:Mcintosh Group
マッキントッシュの新製品開発におけるプロセスは、必ず従来製品の音質の踏襲から始まり、ブラッシュアップをはかる手法を貫いています。その理由は、マッキントッシュサウンドを守り続ける為です。多くのオーディオメーカーの製造が人件費の安い国に移る現代において、メイド・イン・USAの自社生産にこだわり、作り手の顔が見える製品を生み出し続けています。これからもマッキントッシュは、ほの暗い空間でも一目でマッキントッシュを認識させ、まるで演奏者と一体化したような再生表現の優れたマッキントッシュサウンドへ引き込む製品を提供し続けるでしょう。
Mcintoshアンプの特徴
画像引用元:Mcintosh公式ページ
マッキントッシュはアンプ製品の技術が非常に優れており、どのスピーカーと合わせても最高のクオリティでドライブすると評価されています。特に、JAZZを聞くならMcIntoshとJBLの組み合わせと言われるほど、オーディオマニアの間では、JBLのスピーカーとMcIntoshのアンプは相性が抜群と言われていますよね。
そんなMcIntoshとJBLの関係性や、両者を語る際に欠かせない「アメリカンサウンド」についても当社のブログでピックアップしています。是非下記のブログもご覧ください。
「なぜJBLとMcintoshは相性が良いのか?アメリカンサウンドのシナジー効果に迫る」
さて、マッキントッシュのアンプの特徴は、通称マッキントランスと呼ばれる出力トランスのオートフォーマーを搭載していることです。このオートフォーマーを採用することで、スピーカーのインピーダンスの高低に関わらず、広帯域の音質を劣化させることなく再生ができ、パワフルな音の出力も安定して行うことが出来ます。この機能は真空管アンプ時代から受け継がれているものですが、アンプやスピーカーの防御にも効果を発揮しています。
マッキンサウンドとは、創業時から発展し続けているこの出力トランス回路による極低歪み、高出力、広帯域の周波数特性を誇るものと言って良いでしょう。
マッキントッシュ初のアンプ
マッキントッシュが初めて開発完成したアンプは、1949年に発表された「50W-1」です。ユニティ・カップルド・サーキットやバイファイラー巻きトランスを採用した管球式モノラル・パワーアンプ「50W-1」は、50Wを上回るハイパワー、さらに20~20,000Hzの可聴帯域において歪み率1%以下という凄まじい性能を獲得しました。当時のオーディオ機器の中でも、突出した実力を持つ50W-1は世界各国のスタジオ・エンジニア達から大いに称賛されます。そして1951年に50W-1の性能を継承して完成したのが50W-2です。以来マッキントッシュはその地位を確実にしました。
50W-2の構造はユニークで、底部にトランスを納めてパラフィンで密閉したトランスカバー自体がシャーシ機能を併せ持っています。電源部と出力部は2つに分離し、出力管は6L6Gプッシュプル、ドライバーには6J5のプッシュプルを採用していました。
ブルーアイズメーター
画像引用元:Mcintosh公式ページ
McIntoshと言えば、何といっても出力メーターのブルーアイズに代表される製品のアイデンティティですね。
マッキントッシュ・ラボラトリー本社は2006年に増築されましたが、正面オフィスの外壁にはマッキントッシュ製品のフロントパネルを連想させるガラスが配置されています。
マッキントッシュでは機器の設計製造から出荷まですべて本社の自社工場で行われておりますが、デザインも社内の若手のデザイナー達が才能を発揮しているようです。マッキントッシュの代表的なブルーアイズメーターは、前述した通りゴードン・J・ガウ氏が飛行機から見たNYCの夜景がインスピレーションとなり現在まで継承されています。
まとめ
画像引用元:Mcintosh公式ページ
いかがだったでしょうか。たゆまぬ製品開発とその品質とサウンドに絶大な信頼のあるマッキントッシュは、あの青い魅惑的なブルーアイズメーターと共に、これからもオーディオマニアの憧れブランドとして君臨していくことでしょう。
\オーディオランドはマッキントッシュを「高価買取」しております!/
当社のMcIntoshの買取実績は「こちら」をご覧ください。
McIntoshの買取は「真空管アンプ」から「大型スピーカー」まで是非オーディオランドにおまかせください(^^♪