アナログオーディオ愛好家の家には必ずある?超ロングセラーDENON DL-103の魅力

アイキャッチ画像引用元:DENON公式ページ

私たちオーディオランドは日本全国たくさんのオーディオ機器を買取させていただいております。アナログオーディオをしておられる方の家には必ず(は言い過ぎかもしれませんが、、)あるアイテム、DENON(デノン)DL-103。DL-103SやDL-103Rなどレギュラーモデルや限定モデルを含めればきりがない有名なカートリッジですよね。
ハイエンドではない。でもやはり手元に置いておきたくなる安定の音質と、針交換などメンテナンス部分でも安心感があると定評です。
今回はそんな超ロングセラーのDENON DL-103の魅力をご紹介させていただきたいと思います。

DL-103の始まり

画像引用元:DENON公式ページ

「DL-103」は、1964年(昭和39年)にFMステレオ放送用として、デノンとNHK技研の共同開発によって完成したMC型ステレオカートリッジです。忠実な再生を達成する優れた音響的性能と安定性・信用性など、放送機器として要求される厳格な仕様に応えるカートリッジとして開発されました。一説では、NHKの意思でオルトフォンの「SPU」を参考にして開発されたとも言われています。DL-103はNHK-FM放送をはじめ、国内のほとんどの放送局で使用され、放送局用のスタンダード・カートリッジとなっていきました。また、アナログレコード製作現場のプロ用標準器としても活躍しました。

さらに、DL-103を自宅でも使いたいと願うオーディオファンの声に応えて、1970年に一般市場での発売が開始されました。コンシューマー市場での販売以降、レギュラー7機種と限定発売7機種の計14種類のシリーズモデルが発売されました。DL-103のオリジナルモデルは、当時の仕様を変更することなく、半世紀以上の長期に渡って、今も現役カートリッジとして生産・販売されています。そしてデノンのMCカートリッジの分野においてベストセラーを継続しているそうです。現在も福島県にある自社工場で一つ一つ手作業で製造されているDL-103は、DENONひいては日本のカートリッジの原器とも言える名機です。

 

DL-103の魅力

1970年代、放送局用のスタンダード・カートリッジという名声は、非常に大きな影響力を持ち、DL-103は不動の人気を誇っていました。また、70年代はカートリッジの技術的革新と低価格化が進んだ時代でもあり、他社からも多くの新製品が開発・発売されました。DL-103の仕様や高音の伸び、解像度などは、比較的それらの高性能機種に引けを取る部分もありましたが、DL-103の魅力はそこではありませんでした。DL-103の強みは低域から高域までのフラットな性質と言われています。

デノンは1970年代から90年代にかけて、DL-103の改良版を数多くリリースしてきましたが、針先や振動系をリニューアルしたこれらの製品は、どれも一時的な需要に応えたものの、ロングセラー商品にはなりませんでした。結局、今日までオーディオファンに求められ続けたのはオリジナルのDL-103という結果になりました。

また、DL-103は放送局用のプロ用カートリッジとして製造されたため、頑丈で安定しているという特質があります。例えば1970年代の後半から、メーカー各社はカートリッジの振動系のローマス化を行いました。これにより、針が細く折れやすくなったり、チップが脱落したり、コイルが故障したりという問題が出てきました。ビンテージのレコードはスクラッチノイズが発生することがありますが、このような繊細なカートリッジを使用すると、穏やかな気持ちでレコードを楽しめないという風潮が広がりました。その点、DL-103は安定性が高いため、何の心配もなくリラックスして音楽を楽しめるというのも、魅力の一つとなったのでしょう。

 

DL-103の特徴

画像引用元:DENON公式Instagram

DL-103の発電部は、アーマチュアの中を磁力線が通り、磁束を発生させています。アーマチュアは平行な直流磁界の間に直角に設置されています。そして、カンチレバーを通って伝えられる針先の動きでアーマチュアが動きます。このように磁束密度と方向が変わることで、左右チャンネルに対応する出力電圧をコイルが生み出します。この構造の優れた点は、針圧によって針先が沈みアーマチュアの傾斜が変わっても、振動の中心点が変わらないため、出力電圧が偏らない事です。これにより、針圧や針先の影響を受けて出力電圧が変化したり、歪が増加することが非常に少なくなっています。

カンチレバーには、オリジナルの継ぎ竿形二重構造カンチレバーを使用することで、充分な剛性と等価質量の軽量化を実現しています。また、振動系全体の等価質量も小さくしています。これは、オリジナルの十字型アーマチュアや二重構造カンチレバー、針先ダイヤモンドチップの全てを軽量化することで達成されています。さらに、トレーシング能力の向上や超広帯域再生も可能にしています。

支持構造には一点支持方式を用いています。この構造では、サスペンションから延びた極細のサスペンションワイヤーでカンチレバーをサポートしています。これにより、カンチレバーがレコードの針路の有害な振動を防いでいます。そして、音楽信号で必要となるステレオレコードの上下・左右方向の振動に対しては、自由に動くことができるため歪が起きにくくなっています。

左右チャンネルの感度差を最小に抑え、優れたセパレーションを実現するために、発電用コイルを十字型アーマチュアに左右独立させて巻いています。

曲面半径0.65mil(16.5ミクロン)の針先には、0.2mm角のダイヤモンドチップを使用し、カンチレバーには最小限の接合剤で取り付ける方法を採用しています。この特殊な接着方法により、振動系の軽量化を図っています。加えて、ダイヤモンドの最も強硬な部分がレコードの音溝の接触面に向いているため、耐久性に優れ、長時間の使用が可能となっています。

 

DL-103の仕様

●型式:MCカートリッジ

●出力電圧:0.3mV

●再生周波数帯域:20Hz~45kHz

●左右分離度:25dB以上

●左右感度差:1dB以内

●負荷抵抗:100Ω以上(トランス40Ω)

●出力インピーダンス:40Ω

●針先:0.2mm角ソリッドダイヤ 丸針 16.5ミクロン(0.65mil)

●針圧:2.5±0.3g

●コンプライアンス:5×10-6/dyne

●自重:約8.5g

 

DL-103シリーズ

画像引用元:DENON公式Instagram

1970年4月 「DL103」
一つひとつハンドメイドで製造される高い信頼度の放送局用MC形カートリッジ

1974年7月 「DL-103S」
高性能MC形カートリッジ

1977年11月 「DL-103D」
65kHzに及ぶ超広帯域再生が特徴のMC形カートリッジ

1978年5月 「DL-103/TII」
DL-103の生誕15周年記念モデルのMCカートリッジ+昇圧トランス

1981年9月 「DL-103U」
DL-103のヘッドシェル付MCカートリッジ

1982年10月 「DL-103GOLD」
DL-103の生誕20周年記念モデル
のMCカートリッジ

1983年6月 「DL-103M」
DL-103のフラットな音質バランスを継承しながら、軽針圧ハイコンプライアンスタイプにして、トラッカビリティを向上したMC型カートリッジ

1985年10月 「DL-103LC」
日本コロムビア創立75周年記念に誕生し、話題のLC-OFC(線形結晶無酸素銅)線を使用したMCカートリッジ

1986年2月 「DL-103LCII」
日本コロムビア創立75周年を記念したDL-103LCは、当時の予定数量を完売しましたが、翌年オーディオ愛好家からの継続販売を希望する声に応えて、DL-103LCIIと品番を改めてMCカートリッジシリーズに加わり販売されました。

1989年11月 「DL-103SL」
DL-103の仕様を基に、最先端素材を使用して洗練された限定生産モデルのMCカートリッジ

1990年12月 「DL-103GL」
DL-103の基本的な仕様を基に、高純度金線を採用し、限定生産2000本で販売されたMCカートリッジ

1991年12月 「DL-103C1」
信号伝送効率に秀でたクラス1 LC-OFCを採用した、DL-103の限定モデルのMCカートリッジ

1993年10月 「DL-103FL」
アナログサウンドの魅力を十二分に発揮するDL-103の基本的仕様を踏襲しつつ、細部まで非常にこだわって設計・開発された限定モデルのMC形カートリッジ

1994年9月 「DL-103R」
DL-103の基本テクノロジーを継承し、発電コイルに純度99.9999%(6N)の高純度銅線を採用したMC形カートリッジ

 

まとめ

画像引用元:DENON公式ページ

DL-103のオリジナルモデルは、長年に渡ってオーディオ愛好家に支持され続け、今も尚、現役カートリッジとして活躍している超ロングセラーモデルです。2020年11月には、デノン創立110周年記念モデルとして、「DL-103」と、その性能をとことん引き出すという専用設計の新ヘッドシェルを組み合わせた特別仕様モデルの「DL-A110」が発売されました。DL-103は、DENONの原器、さらには日本のカートリッジのスタンダードと言えるかもしれませんね。

オーディオランドのブログでは、今更聞けないシリーズとして「DENON」の読み方をご紹介しています。また、カートリッジに関してや、トーンアームのお話、フォノイコライザーについてもピックアップしていますので、ぜひ下記のブログをご覧ください。

「今更聞けないシリーズ「DENON」の読み方はデノン?デンオン?」

「カートリッジの MM/MCって?昇圧トランスってどんなもの?」

「トーンアームのお話、ショート、ロングはたまたS字で音の変化はどうなるのか?」

「レコード再生時に必要となるフォノイコライザーって何?」

最後までお読みいただきありがとうございました!
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