わたしの考える吸音材によるオーディオの音を改善する方法
オーディオに興味を持ったばかり!という初心者の方から、
「吸音材を使用する意味はあるの?」
「音を吸収させて、なぜ音質が改善するの?」
といった疑問が寄せられます。
そんな疑問にお答えするべく、この記事では「吸音材をなぜ使うのか」、「吸音材の正しい使い方」を詳しく解説していきます。
より高音質に音楽を楽しむための第一歩となる記事になっていますので、ぜひオーディオ初心者の方はご一読ください。
目次
吸音材で音は改善するのか
Q:吸音材を使用すると音は改善するのか?
A:吸音材を使用することで音質が改善します。
しかも、かなりの音の違いが感じられるかと思います。
では、吸音材を使用するとなぜ音が改善するのでしょうか。
私たちが日ごろ耳にする生活音のほとんどは部屋の反響音と言われています。
ということは、もちろんスピーカーから出ている音も、部屋の中で反響した音が耳に入って聴こえていることになります。
実は、スピーカーそのものの音を直接聴いているわけではないのです。
そこで、吸音材を使用して反響音をなくすことで、スピーカーそのものの音だけを抽出してダイレクトに耳に入れることで、よりスピーカーが発する音の魅力を堪能することができるわけです。
「じゃあ早速吸音材を使ってみよう!」とお思いの貴方!
一口に吸音材と言っても、吸音材には実は様々な種類があるのです。
次の章では、様々な吸音材の種類について紹介していきます。
吸音材のタイプによって音が変わる
前述の通り、吸音材には様々なタイプがあります。
最初はどのタイプの吸音材を使用すればよいか悩む人も多いはず。
そこで、この章では多々ある吸音材の中から、おすすめの吸音材をいくつかご紹介したいと思います。
また、それぞれどのような効果があるのかも解説していきますので、ご自身のよく聴く音楽やオーディオを設置する部屋の環境を想定しながら読んでいただくと、どのタイプの吸音材を選べば良いか分かるかもしれません。
スポンジ(フォームタイプ)の吸音材
吸音材の一番定番の素材がスポンジです。
スポンジタイプの吸音材は、音による空気の振動がスポンジに当たった際に熱エネルギーに変換することで音を吸収するという仕組みで吸音されます。
また、ウレタンスポンジの吸音材は、スポンジタイプの吸音材の中でも普通のスポンジ素材よりも耐久性が高く吸音性も高いです。
また、ご存じの通りスポンジは軽い素材のため初心者の方にも扱いやすい吸音材です。
ウール素材の吸音材
ウールタイプの吸音材(グラスウールやロックウール)はスポンジタイプの吸音材に比べて素材の密度が高く吸音性が高いです。
スポンジタイプの吸音材は中高音域の吸音に対応できますが、実は低音域の吸音は得意ではありません。ウールタイプの吸音材の場合、低音域の吸音もしっかりしてくれるため吸音のバランスが良いと言われています。
吸音材は、素材の密度が高ければ高いほど吸音性に優れており、吸収できる周波数帯域も広いことがわかっています。
また、素材に厚みがあると、その分低音域の吸音性が高くなります。
こういった理由から、最初に吸音材を買う場合はウールタイプの吸音材から購入することをおすすめしています。
まずはウールタイプの吸音材でルームチューンを行い、中高音域が気になるようであればスポンジタイプの吸音材を買い足すなどして微調整していくのはいかがでしょうか。
ヘルムホルツ共鳴器タイプの吸音器
スポンジやウール以外に、ヘルツホルム共鳴器という吸音装置があります。
この聴き慣れない「ヘルムホルツ共鳴器」というのは、開口部を持った容器のことをいいます。
吸音する原理としては、開口部の面積(小)と容器の内容積の大きさ(大)によって共鳴する音程が変わり(このことをヘルムホルツ共鳴といいます。)、この特性を使って特定の音程を吸音するというのが、ヘルムホルツ共鳴器タイプの吸音器です。
開口部の面積と容器の内容積を調節することで、狙った音程を吸音できるので、特定の音程の吸音をするのにとても便利な吸音器です。
スポンジとウールの吸音材だけでチューニングが上手くいかない場合に使用してみると良いでしょう。
振動板タイプの吸音器
振動板タイプの吸音器は低音域を吸音する際に使用されます。
吸音する仕組みは「振動版」という名前の通り、板で音を受けとめ振動させることで、音のエネルギーを吸収し吸音します。
主要吸音材メーカーを紹介
SONEX(ソネックス)
SONEXはアメリカのメーカーで、主に吸音材を扱う会社です。
SONEXの吸音材は素材にウレタンやメラミンフォームを使用しており、吸音性と耐火性に優れています。
音楽の現場だけでなく自宅や建築現場でも使用され、他業界からも人気のあるメーカーです。
AURALEX(オーラレックス )
AURALEXもアメリカに本拠地を置く吸音材メーカーです。
吸音性と耐久性に優れているだけでなく、吸音材では珍しい個性的なデザインをした製品が多いのが特徴です。
ULTIMATE(アルティメイト)
ULTIMATEはスピーカースタンドや楽器用スタンドなどを取り扱うアメリカのメーカーです。
スタンド製品だけでなく、吸音材も取り扱っています。
世界中の音楽関係者から信頼を得ていて、ULTIMATEのプロダクトは長期のライブツアーにも耐えられるクオリティと耐久性が備わっていると評価されています。
AURAL SONIC(オーラルソニック)
AURAL SONICは吸音と遮音、両方の効果を得られる調音材を販売しているメーカーです。
2009年から販売を始め、テレビ局やスタジオだけでなく、その吸音性の高さから医療現場や福祉施設などでもAURAL SONIC製の調音材が使用されています。
吸音材は設置する場所が重要
さて、主な吸音材の種類やメーカーについてのお話をしましたが、
「自分に必要な吸音材を購入してきた!早速、部屋にたくさん設置するぞー!」
と焦ってしまうのはよくありません。
実は吸音材は「設置する場所」がとても重要なのです!
適当な場所に吸音材を張っても効果を発揮せず、無駄な買い物になってしまうかも…
そうならない為にも、吸音材を最適な場所に設置しましょう。
では、吸音材を設置するのに最適な場所はどこでしょう。
それは、スピーカーから出る最初の一番強いエネルギーを反射することができる場所です。
具体的には、スピーカーに対面している壁、スピーカーと自分が音楽を聴くポジションの中間地点の両脇の壁、スピーカーの後ろの3ヶ所となります。
天井に吸音材を設置する際も同様に、スピーカーと自分がいるポジションの中間地点に設置しましょう。
これまでの解説からわかる通り、吸音材を設置する際には予め自分のリスニングポジションを決めておく必要があります。
ちなみにリスニングポジションは部屋の中央辺りで問題ありません。
最後に、低音域の吸音をする際の吸音材を設置する場所について説明します。
低音域の音程を吸音したい場合は、吸音材を壁のコーナー・床と壁のコーナー・天井と壁のコーナーに設置してください。
低音は高音と比較して部屋のコーナーの部分にエネルギーが集中しやすい為です。なので、低音域のエネルギーが集中する場所に吸音材を設置することでより高い吸音効果を得られ、音質改善が望めます。
吸音材だけでなく音響パネルも使ってみる
これまで、吸音材の素材や設置方法について解説してきました。
この章では、おまけとして音響パネルについても少し触れてみたいと思います。
前章までは音を吸収して音の改善をする方法でしたが、この章では逆に音を反射させてルームチューンをする方法をご紹介します。
音を反射させてルームチューンをする際に使用するのが、音響パネルと呼ばれるものです。
音響パネルは音の吸収と音の反射、両方の役割を担います。
耳に良くない音は吸収し良い音は反射するという、まるでコンサートホールにいるような環境を作ってくれます。
設置場所はスピーカー後方で、壁と平行にならないように少し斜めに設置します。
設置方法は、初めに部屋の両コーナーにパネルを内側に向けて設置。
そして、2枚のパネルを左右のスピーカーの間の後方に山なり(「>」←このような形に)になるように設置します。
最後に左右のスピーカーの間にも2枚、スピーカーと平行になるように設置します。
以上、計6枚の音響パネルを設置することで、自宅をコンサートホールのような音響にすることができるのです。(音響パネルの使用枚数は部屋の規模によって変動します。)
さらに音を向上させるために
ここまで吸音材と音響パネルによる音の改善方法をご紹介してきました。
最後に、少しおまけ。
これより更に音を向上させるために必要な知識を少しだけご紹介します。
部屋の選び方
吸音材などのご説明をしましたが、大前提として音楽を聴く部屋選びが、実は音を向上させるのに一番重要なポイントとなっています。
音の反射は部屋が正方形に近ければ近いほど起こりやすいため、より正方形に近い部屋は音楽を聴くための部屋に選ばないようにすることをおすすめします。
また、天井が低い部屋もフラッターエコーという音の多重反射が起きやすいためおすすめできません。
ですが、日本の一般家庭のお部屋はたいてい天井が低いですよね。
そんな時は、天井に段差がある部屋を選んだり、床に絨毯を引いたりなどの対策でフラッターエコーを防ぎましょう。
音楽を聴くポジション
先ほども触れましたが、自身の音楽を聴くポジションも音楽を聴く際に重要な要素となります。
音楽を聴くポジションは、吸音材を設置する場所を計算しやすい部屋の中心がおすすめです。
ですが、部屋の中心は音の反射の影響を受けやすい場所でもあるので、吸音材でのルームチューニングが必須になります。
窓の部分の反射対策
窓は音の反射を手助けしてしまうので注意しましょう。
窓のある部屋を音楽鑑賞用の部屋に選んだ際は、二重になったカーテン生地を用意しましょう。二重生地のカーテンは高音域を吸音してくれます。
防音カーテンの方がいいのではと思われるかもしれませんが、防音カーテンは吸音よりも遮音を重視したカーテンになっていて、吸音材としては機能しません。
そのため、防音カーテンではなく二重生地のカーテンを用意しましょう。
まとめ
この記事では「吸音材を使用する意味はあるの?」「音を吸収させて、なぜ音質が改善するの?」っとった疑問についてや、吸音材の種類、更に音質向上するための方法について解説しました。
おさらいになりますが、吸音材について大切なポイントは以下の3点です。
①吸音材は音の改善に絶大な効果がある。
②吸音材には種類があり、取り除きたい音域に合わせて選ぶことが大事
③吸音材を設置する場所も重要
更に、吸音材の設置場所の重要なポイントは
・吸音材はスピーカーと音楽を聴くポジションの中間地点に設置する。
・低音を吸音したい場合は部屋のコーナーに吸音材を設置する。
・吸音材を設置する前に自身のリスニングポジションを決めておく。
でした。
最後にさらに音を向上させるために必要な知識もご紹介しました。
その中で重要なポイントは、
・正方形、または正方形に近い部屋は音楽を聴く部屋として適さないので、なるべく避ける。
・自身のリスニングポジションを決めておく。ポジションは部屋の中心でOK。
・窓のある部屋をリスニングルームに選んだ場合は、カーテンを二重生地のものにする。
でした。
この記事でオーディオ初心者の方にも吸音材がいかに大切かおわかりいただけましたか?
より良い環境で音を聴くために、吸音材を駆使したルームチューニングにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。